こんにちは。アレルギーナビゲーターの細川真奈です。
このコラムを読んで下さっている方の中に、「コンタミネーション」という言葉を聞いたことがある方はおられますでしょうか?
食物アレルギーがある方、またはそのご家族でしたらよく耳にする言葉だと思います。
英語では、「contamination」は「汚染」を意味します。日本では「コンタミ」と呼ばれたりもしていますが、異物混入、あるいは異物が混入した製品という意味で使用されています。これは、食物アレルギーに携わる人の中ではとても重要なことなのです。
なぜなら、食物アレルギーはただ単純に、目に見えるアレルゲン物質だけを除去すればよいわけではないからです。
ごく少数の人は、微量のコンタミでアナフィラキシーショック症状を引き起こす人もいます。
実際にわたしもそのうちの1人でした。
離乳食の段階で食物アレルギーが発覚し、成人した今でも、自宅で使用するフライパンやお鍋、スポンジ類はアレルゲン物質を使用する物・しない物によって使い分けています。
外食が多くなってきた最近はコンタミもある程度は大丈夫になったので、自宅での使い分けも神経質にやらなくていいかなとも思うのですが、両親は両親で、わたしがアレルギーを引き起こす可能性があるものを家で食べないのが習慣化されているようで、食器の使い分けも自然と行われています。
ですが、友達の家へ遊びに行ったときや、外で洗い物のお手伝いをしたときに、洗い物をし終わった後で無性に手の甲がかゆくなり始めて、赤くばーっと湿疹が広がることがしばしばあります。
この症状は実は最近になって気づいたことなのですが、手の甲は元々荒れやすいので、そこにアレルゲン物質が微量に付着することによって、未だにアレルギー反応を引き起こしているのかも知れません。しかし軽度の症状なので、体調が良いときはできる限りお手伝いを進んでするように心がけています。
小さい頃からのこういった経験があるからこそ、百貨店でのイベントのときや、アレルギーっ子を対象としたイベントのときに使用する調理器具には、特に気をつけるようにしています。
レンタルキッチンスタジオにあるものは極力使用せず、新しく購入したのもので調理したり、食器に関しては可愛い紙皿を使用するようにしているのです。
正直その分費用がかかって大変ですが、せっかくアレルゲン物質を使用しないメニューを提供しているのにも関わらず、コンタミが原因でアレルギー症状を引き起こしてしまうようなことが起きてしまったら、楽しんでもらうはずのイベントが悲しいイベントとなってしまう可能性が少なからずあるからです。
食物アレルギーでない方の中には、もしかしたらこう思う方もいるかも知れません。「食物アレルギーってこんなに大変なの?」
あるいはこう思う方もいらっしゃるかもしれません。「食物アレルギーの人って面倒くさそう」
でも、自分にとっては命に関わることなのです。そして生まれつき食物アレルギーである私からしたら、当たり前のことばかりなので全く苦に感じません。
以前、アレルギーっ子が集まる座談会で以下のような質問を受けたことがあります。「自分の子供が食物アレルギーになってしまうかもしれないと思うと、子供を持つか悩みませんか?」と。
私はこう即答しました。
「全く悩みません。むしろ自分自身も経験してきたことなので、食物アレルギーの子供が生まれてきてもサポートする自信があります!むしろ、アレルギーではない子どもが生まれてきたとしたら、卵料理は父親になる人に頼まないといけなくなりますけどね!笑」。
それを聞いた方は気持ちが楽になったとおっしゃって下さりました。
私は医師でも管理栄養士でもないので、治療を施したり栄養バランスのよいメニューを提案することはできませんが、自身の経験や体験に関してはなんでもお伝えしたいと思っています。それが1人でも多くの方の心の支えになるのであれば、アレルギーナビゲーターとしての活動を続けていきたいと思っています。
文:リズムアンバサダー 細川真奈