東京のビジネスエリアを中心に自転車での至急のデリバリー、通称メッセンジャーを生業としている花積ジュリと申します。2015年11月で、ぼくのメッセンジャーライフは12年目を迎える運びとなりました。CMWC TOKYO2009 (Cycle Messenger World Championship)においては世界チャンピオンになることもできました。
ぼくたちバイシクルメッセンジャーは、クライアントのオーダーに従い、緊急性の高い荷物をDoor To Doorでスムーズに運ぶことを仕事としています。
20代の若者がモラトリアム期間にアルバイトとして、自分の可能性を試していくことが多く、だいたい一人のメッセンジャーとしてのキャリアは長くて4~5年だと、始めた頃に聞いたことがあります。
メッセンジャー発祥の地であるニューヨークでは、10年続けられればレジェンドと呼ばれると聞いたこともあります。この職業をメインとしている中では、年齢的には、かなり上の方になってきたなぁと最近はよく感じます(笑)。
ぼく自身も始めた頃は1~2年の間、メッセンジャーを経験し、次のステップに進もうと考えていました。ところが、いまはこの仕事の魅力に取りつかれてしまい、クライアントからのオーダーがあり、肉体に支障が出ない限り、続けていきたいと考えています。
メッセンジャーを生業としている中で、一番よく聞かれる質問です。
「平均して100kmくらいです」と答えていますが、もちろん個人差やオーダーによって増減することもあり、自分の都合で決められるものではありません。時間を短縮するサービスを提供しているため、メッセンジャー個人のモチベーションにより変わってくるものだと考えています。
一件のお届けを、より正確により素早くお客様のもとに届けるのがぼくたちの使命であります。
この頃は、一日単位というより、この仕事を続けていく中で、より多くの人にメッセンジャーの存在を知ってもらえることを大事にしていきたいと感じております。
20代後半の頃、サイクルコンピューターをつけて走り、一日で150kmを超えたこともありました。
ただ、同じ人力であるランニングでの100kmと自転車での100kmでは、かなりの差があると思います。自転車の魅力の一つであると思うのですが、10kgほどのシンプルな構造と人のエネルギーのみで長距離を移動できる乗り物は、ほかにありません。
メッセンジャーは自分の身体と精神と常に向きあわないと厳しい仕事です。ぼくが日頃気をつけていることが、Rhythm読者のみなさまの生き方のヒントになればと思い、ペンを取らせていただきました。
これからはタフに働く日常の中での体調管理や、食事、自身の身体のこと、もちろん自転車に関することもお届けできたらと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
文: リズムアンバサダー 花積ジュリ
写真:x-ray sexysushi