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世界でも高評価だった集団予防接種は、なぜ中止されたのか

世界でも高評価だった集団予防接種は、なぜ中止されたのか

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世界でも高評価だった集団予防接種は、なぜ中止されたのか

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突然ですが、小学校でインフルエンザの予防接種をしたことがありますか?

「ある」と答えた人、なんとなく年齢がわかってしまいます(笑)。「ない」と答えた人には意外かもしれませんが、以前日本では小学校で、学童に対するインフルエンザの集団予防接種を実施していました。ところが、今は中止されています。

なぜ中止になったのでしょうか?

今回は、集団予防接種について調べてみました。

集団予防接種とは

日本では、集団予防接種は1962年から開始されます。1976年には本格的に義務化され、学童から中学生に至るまで、広範囲に集団予防接種を行っていました。インフルエンザの感染拡大を防ぐには、集団行動をする学校生活で予防するのが、効果的だと考えられていたからです。

世界的に見ても、稀な取り組みで、毎年1600~1700万本ものワクチンが使用されていました。ところが突然中止になるのです。

中止になった理由

1980年代後半になると、インフルエンザワクチンには効果がないという学説が出てきます。確かに、ワクチン接種してもインフルエンザにはかかりますし、それでいて副作用の恐れもあります。今でも、ワクチン接種は製薬会社を潤わせるだけ、という発言を耳にします。

それをマスメディアが世論として形成させてしまったので、特に綿密な検証もないままに、当時の厚生省も動くことになりました。1987年には強制力のない勧奨接種となり、1994年には予防接種法が改正され、集団予防接種は中止されてしまうのです。

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実は中止しないほうがよかった

中止されてしまった現在では、実はそれなりに集団予防接種は効果があった、といわれています。

重症化しない

インフルエンザワクチンを接種しても、感染・発症する可能性はあります。それはワクチン接種したウイルスと流行したインフルエンザウイルスの型が違った場合です。ウイルスは常に変異を繰り返すので、そのために毎年予防接種をする必要があるのです。

しかし、統計的に、予防接種を受けた人が感染・発症した場合は、重症化しにくいという結果が出ています。このため、現在では予防のためというよりは、重症化させないために接種を推奨しています。

高齢者の死亡者が減る

インフルエンザは、免疫がまだ少ない14歳までの子どもが感染する確率が圧倒的に高いのが特長です。そのため、この層に対して集団予防接種をすることで、社会全体におけるインフルエンザウイルスの総量を抑えることができたのです。

社会全体でウイルスの総量が増えると、感染機会も増えますし、家庭での感染の可能性も増えます。その結果、感染者が多くなるのに伴って、高齢者の感染も増え、更に高齢者は重症化するケースが多いので、死亡者も増えてしまったのです。

超過死亡

超過死亡とは、平均的な死亡者数を超えた人数のことですが、集団予防接種が中止になってからは、超過死亡者数が増加傾向にあるのです。つまり、本来死なずに済んだ人たちが増えてしまったということなのです。

アメリカなどでは高い評価を受けている

実は、日本の集団予防接種は、アメリカなどの先進国では、高く評価されています。皮肉なことに、現在、それらの国は、日本の集団予防接種を公衆衛生上の成功事例として、若年層への集団予防接種を推奨しているのです。

しかし、日本で、今更その制度の復活は難しいのです。副作用のリスクを保護者は恐れるからです。

このように、世界に誇れる公衆衛生のシステムを持っていながら、日本は自ら放棄してしまったのです。

予防接種後のこと

ところで、インフルエンザの予防接種は今、集団接種は行われていないものの、任意で予防接種が受けられるようになっています。そこで、今度は実際にインフルエンザの予防接種を受けた後のことについてみていきましょう。

予防効果が持続するのは接種後2週間~5ヶ月間

インフルエンザの予防接種を受けた後、インフルエンザへの抵抗力がつくまでには、2週間程度かかるといわれています。また、「その効果が十分に持続する期間は約5ヶ月間」と厚生労働省は述べています。5ヶ月以上経ったら、感染リスクがあることを意識しておかなければなりません。

また、時期的なリスクもあります。予防接種を受けるなら、インフルエンザが流行する時期に合わせることも重要です。

インフルエンザの予防接種で起こる副反応

インフルエンザの予防接種を受けると、さまざまな副反応が起こるといわれています。予防接種を受ける前に、確認しておきましょう。

・注射の跡が、赤くなる・腫れる・痛むなど
・熱が出る・寒気がする。頭痛がする。・全身がだるくなる
・発熱・頭痛・けいれん・運動障害・意識障害
・まれにショック・じんましん・呼吸困難など

通常、このような症状は、接種後2~3日程度でおさまるといわれています。
もしそれ以上続く、重い症状が出た場合などには、すぐに医療機関を受診しましょう。

インフルエンザ予防法を押さえておこう

また、インフルエンザは、予防接種を受けるだけでなく、日常生活の行動で予防することも大切です。一般的な予防法を押さえておきましょう。

手洗いを徹底する

手洗いはインフルエンザ予防の基本中の基本です。

インフルエンザの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。この接触感染は、学校や会社などでスイッチやドアノブなど共通して触れる際に起こりがちです。手に付着しても、手洗いをしっかり行えば、感染を防ぐことができます。

帰宅時、調理の前後、食事の前には必ず洗うようにしましょう。特に、ウイルスは石鹸に弱いので、石鹸を使って徹底するようにしてください。特に指先や爪の間、指の間、手首まで入念に洗うのを意識しましょう。

タオルもこまめにかえて、常に清潔なもので拭くようにしましょう。

マスクを着用する

もう一つの感染経路である飛沫感染は、空気中の、感染者によるくしゃみ、せき、唾などを吸い込むことで移るものです。インフルエンザが流行する時期に外出する際には、ぜひマスクをしましょう。もちろん、外から帰ってきたら、うがいをするのも忘れずに。

十分な睡眠・栄養バランスの取れた食生活を送る

基本的に、免疫力が下がっているとインフルエンザに感染しやすくなります。睡眠不足になると免疫力が下がりやすくなるため、十分眠ることが大切です。また、栄養バランスの整った食事を摂ることも、免疫力を下げないためのポイントです。

部屋の湿度を適度に保つ

のどの粘膜の防御機能は、空気が乾燥すると低下するといわれています。部屋の湿度を気にかけ、50~60%ほどの湿度を保つようにしましょう。

インフルエンザ流行時には、人混みに行かない

毎年、インフルエンザが流行する時期は決まっています。だいたい11月~12月頃に流行りだし、1~3月頃にピークを迎えるのが通例です。このような時期に、わざわざ繁華街に繰り出したり、人混みの中に頻繁に出かけたりするのはできるだけ避けるようにしましょう。思わぬところでインフルエンザウイルスをもらってきてしまう可能性もあります。

まとめ

インフルエンザの集団予防接種は、現在は行われておらず、任意で受けることができます。あらかじめ副反応などを確認してから受けるようにしましょう。

また、インフルエンザは日頃の予防策も大切です。予防接種と共に、日常の衛生管理・体調管理をしっかり行って、確実にインフルエンザを予防しましょう。

文:リズム編集部 Y・S

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