こんにちは。滝ガールの坂崎絢子です。
実はわたし、肩書きでは「滝ガール」というのに加えて、「滝文化ライター」とも名乗っております。どちらも何か資格があるようなものではありませんから、勝手に名乗っているだけなのですけどね。「滝文化」って、何?と聞かれることがあります。
滝文化、とは一言で表すならば「滝と人との関係」のことです。
人は滝になぜ魅せられるのか、これまで人と滝はどう暮らしてきたのか、その歴史と、これから滝と人はどんな関係を築いていったらいいのか……?
これまで全国の滝をめぐってきて、滝そのものだけでなく、滝と人との関係性のことも気になりだしてきました。
そして、日本の「滝文化」の最たるものが、滝にまつわる信仰です。全国、滝をめぐっていると、同時に、相当な数の神社をめぐることにもなりました。滝にゆかりのある神社って、本当に多いのです。
日本では古代から自然崇拝として、あらゆる自然のモノ、現象に対して、目には見えなくてもそこに神様がいると信じていました。
大きな岩だったり、大きな木だったりに神様が宿っているとされているわけですが、まさに滝も神様とされていました。動いているし、音も出すし、(水量によって)姿も大きく変化する。そもそもそれは、人間が生きていくのに一番大切な水そのものです。昔の人はみな、滝に神様を感じてきたのでしょう。
秋田県にある今木神社。四十八滝という滝が落ちています。
わたし自身も、滝をめぐりながらそこにある神社を数多くお参りしてきましたが、そのたびに日本古来の精神性に触れられているような気がしています。
神社のそばにある滝は、実際に行ってみると、気持ちの良い滝が多いのです。まさにパワースポット、という感じです。それはたぶん、神社を守る人々によって、滝もきちんと守られているからでしょう。逆に、忘れ去られてしまったように朽ちた社があるような滝は、ちょっと近寄りがたい雰囲気を出していることがあります……。
全国で数多く存在している「滝のある神社」ですが、中でもわたしがお気に入りの場所をピックアップして、ご紹介しますね。
まずはこちら。
熊野那智大社の別宮、飛瀧神社のご神体として古くから人々の畏敬を集めてきた那智の滝です。
落差133m、日本三大名滝の一つです。ドドド……身体の奥にまで響く轟音。わたしは和歌山に訪れる時には必ず立ち寄り、この滝に喝を入れてもらっています。
那智の滝にまつわる歴史は調べてみると本当に奥が深い。平安時代や鎌倉時代の人は、ここでどんな祈りを捧げていたのでしょうね。わたしが滝文化というものに惹かれるようになった、きっかけの滝でもあります。
ちなみに飛瀧神社の御朱印帳も素敵ですよ。
滝のある神社は数あれど、このオリジナル御朱印帳に滝が描かれているのはここだけではないでしょうか。
山形県酒田市、御嶽神社のご神体となっているのが、玉簾の滝です。
こちらも那智の滝と同様、ストーンとまっすぐに落ちてくる直瀑(ちょくばく)というスタイル。落差63m、山形県内一の高さを誇ります。
およそ1200年前、弘法大師が神のお告げにより発見、命名したという言い伝えが残る滝です。さすが、凛とした姿はやはり神々しい。でもそれでいて、どこか優しげなのです。のどかな里の近くで、まるで神様がそこで暮らす人々を見守るように落ち続けています。
「白瀑」と書いて、しらたきと読みます。
こちらも神社のすぐ裏に、ご神体である滝が落ちています。慈覚大師円仁がこの滝に打たれて苦行したという伝説がある、由緒ある滝だそうです。
空間が清められていて、気持ちがきりっと引き締まる雰囲気でした。
また、こちらの滝は、例大祭も有名です。その名も「みこしの滝浴び」。
毎年8月1日に行われる例大祭。白装束の男たちが御神輿を担ぎながら町内を練り歩き、最後に男滝、女滝からなる滝壷に御神輿ごと飛び込む行事です。家内安全と商売繁盛を願っているそうですが、こんな豪快な行事は全国でもここだけ。実際にいつか見てみたいですね。
皆さんも、滝のある神社を訪ねることがあれば、ぜひ滝にも祈りを捧げてみてください。それは、日本古来の信仰スタイルでもあります。美しい姿を眺めて癒やされるだけでなく、内からのパワーも湧いてくるのではないでしょうか。
文・写真:坂崎絢子