適度な運動をしていないと、健康を害したりストレスが溜まったりと悪いことばかりが起きるといわれていますが、さらに驚きの研究結果がアメリカの医学誌「Neurology」で発表されました。それは、「中年のときに運動不足だと、将来脳のサイズが小さくなってしまう」ということ。今回は、そんな健康と脳にまつわる最新情報をご紹介します。
参考:Midlife exercise blood pressure, heart rate, and fitness relate to brain volume 2 decades later (Neurology)
調査では、40歳を中心にプラスマイナス9歳の年齢幅の人で、心疾患や認知症がない人を対象にウォーキングマシンを使った運動テストを行って脳の状態を分析。さらに20年後に同様の調査を行い、運動が脳にどのような変化を与えるかを調べました。
すると、運動テストで心拍数や血圧がたくさん上がった人は、そうでない人に比べて20年後に脳が小さくなっていることが判明したのです。
運動で心拍数と血圧が大きく上昇するということは、運動不足や体力のない人を意味します。つまり、40歳頃の中年時にきちんと運動する習慣があると、高齢になっても脳が小さくなることを防げる可能性があるのです。
脳が小さくなるということは、クリアな思考ができなくなったり、進行すれば認知症など脳の病気を引き起こす可能性も高くなるということ。
しかし運動すると全身の血流がよくなるので、血液にのって酸素や栄養が脳にも運ばれ、それによって脳の委縮が予防できるのかもしれません。
運動が認知症の予防になることは、ほかのさまざまな研究でも実証されてきており、アクティブで健康的な老後は、20年、30年前の暮らし方にかかっていると言えそうです。
40歳を中心とした、いわゆる“中年の世代”は仕事と家庭のことに一番慌ただしい世代でもあります。しかし、そんなときの生活スタイルが将来、自分の健康を左右するとわかったら、少しでも運動をしておこうという気になりますね。
文:佐藤まきこ
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