毎晩疲れて家に帰ると、シャワーを浴びて布団に倒れ込む。翌朝はアラームで無理やり目覚め、前日の疲れが残ったまま身体も心もグッタリ。そんな毎日を繰り返していませんか?実は就寝前に簡単なストレッチをするだけで、その日の疲れをその日のうちに取り除き、翌朝すっきりと目覚めことができます。
今日から早速、翌日に疲れを持ち越さないために”就寝前の10分ストレッチ”を試してみませんか?
朝起きてもなんだかスッキリせず、前日の疲れが残っているのを感じることはありませんか?原因は疲れではなく、睡眠の質の低下かもしれません。
睡眠の質が低いと、いくら寝ても疲れが取れることはありません。まずは睡眠の質が低下する原因を探り、それに対処することが大切。
原因として考えられることの1つに、睡眠前の食事があげられます。睡眠に入る30分から1時間くらいに食事をすると胃の消化がはじまり、その活動によって睡眠は浅くなりがちに。
また、悩みやストレスを抱えている場合も同様。頭が休まらず睡眠の質は低下します。昼間の仕事で筋肉が凝り固まり、呼吸が浅くなることも睡眠の妨げになります。
上記の原因を取り除くだけでも、より睡眠の質は高まりやすいでしょう。
ストレッチとは、「stretching=伸ばし」からきた言葉で、スポーツや医療の分野では、身体のある筋肉を引っ張って伸ばすことを指します。
1960年にアメリカのスポーツ科学の論文で使われたことをきっかけに、1970年代に徐々にストレッチの概念が広がっていきました。そして、1975年に発刊された『STRECHING』(ボブ・アンダーソン著)という本によって、よりいっそう普及していったのです。
ストレッチには、運動する前にウォームアップとして行う動的ストレッチと、運動後にクールダウンとして行う静的ストレッチがあります。動的ストレッチには、関節の可動域を広げて身体を動かしやすくすると同時に、筋肉に刺激を与えて、これから運動するという意識を身体に伝える目的で行います。
これに対して静的ストレッチは、硬くなった筋肉をほぐし、筋肉を良好な状態に回復させる目的で行います。
通勤やデスクワーク、家事や育児など日常生活のさまざまな動きには、実は軽いスポーツをしたときと同じくらい筋肉や関節が使われています。
静的ストレッチには筋肉や結合組織の柔軟性を高め、血流を良くして疲労物質を除去したり、筋肉や精神の緊張を緩和したりするといった効果があります。そのため、運動後に限らず、1日の活動の最後、つまり就寝前に静的ストレッチを行うことで、心身をリラックスさせて眠りの質を高め、疲れを翌日へ持ち越さないようになるのです。
静的ストレッチの基本は、関節を動かして目的の筋肉をゆっくりと伸ばし、適度に伸びたところで20秒くらいその姿勢をキープすること。
その際注意したいのは、筋肉は無理せずゆっくりと伸ばすこと。筋肉は、瞬間的に引き伸ばされると「伸張反射」と呼ばれる筋肉の収縮を起こし、筋肉や腱を痛める恐れがあるので気をつけましょう。
またストレッチは、身体が温まった状態で行うと筋肉が伸びやすく効果的です。入浴後、布団やマットレスなどの上でリラックスした状態で行うのが良いでしょう。
就寝前に簡単に行えるストレッチには、次のようなものがあります。
両手を上にあげたまま仰向けに寝て、手の指先は上に、足のつま先は下に、思い切り伸ばす。
仰向けに寝て首の後ろで両手を組み、おなかを見るようにして首の後ろを伸ばす。
右手首で左ひじの外側を胸の方に押さえつけながら、左肩の外側を伸ばす。右肩も同様に伸ばす。
仰向けに寝て、手を頭の上に伸ばし、上体は真上を向いたまま、右足を左半身の方へねじる。
左足も同様に右半身の方へねじる。
正座をして両手を前につき、腰を後ろに引きながら、背中から腰にかけて伸びるように身体を前方に倒していく。
正座をしたまま両手を挙げて仰向けになり、太ももの前の筋肉を伸ばす。
ストレッチで大切なのは毎日続けること。今回紹介したストレッチの6つをすべて終えなくてもかまいません。途中で眠くなったらそのまま寝てしまうくらいの気楽さでやってみましょう。翌朝はきっと、驚くほどすっきりと目覚めることができるはずです!
ストレッチを毎日続けるためには、ストレッチを行うことの価値を十分理解することが第一歩。モチベーションを高めるために、ストレッチのメリットをまとめて確認しておきましょう。
ストレッチを行うと、心拍数が下がり、リラックス効果が得られます。これによって、緊張していた心が解き放たれ、夜はより深い眠りにつけるでしょう。
また、リラックスできるのは、心だけでなく筋肉も同じ。筋肉は無意識に力が入ってしまうものなので、身体がこわばってしまい緊張が解けないことも。ストレッチをすることでこわばりを緩和し、筋肉の緊張を緩めることができるでしょう。
ストレッチを入念に行った後は、関節の可動域が広がり、動きがスムーズになる気がします。もちろん、激しいスポーツをするときにも、ストレッチによって可動域が広がり、身体が動かしやすくなります。これらは運動のパフォーマンス向上につながるでしょう。
また、可動域が広がることは日常のちょっとした動作も行いやすくなります。歩く、物を拾うなどのちょっとした動作も、スムーズに行えるように。これまで体が固くて動くのが億劫だったという人は、ぜひストレッチをして可動域を広げてみてください。
今、股関節を柔らかくすることが注目されていて、開脚がちょっとしたブームに。
股関節まわりをストレッチすると、腰痛、肩こり、冷え性が改善し、体重も変化することがあるといわれています。関節の可動域が広がることで、股関節が動かしやすくなり、運動量が自然に増えることが一つの要因です。
また体重が減るのは、股関節周りの筋肉が刺激を受けることで、眠っていた筋肉が目覚め、代謝がよくなることが背景にあるようです。ただし、人によっては運動量が増えることで食欲が増し、かえって体重が増えることもあるので注意が必要。
しかし股関節をストレッチすると、だるさ、むくみ、生理痛など原因がはっきりしないような体の不調が改善することもあります。
股関節をストレッチするには、四股踏みがおすすめです。脚を思いっきり左右に開いて腰をそのまま落とします。ひざに両ひじをついて、ゆっくり圧をかけて10秒ほどキープします。
開脚ストレッチも股関節を柔らかくするのに有効です。座って脚を左右に大きく開き、背筋をピンと伸ばします。その状態で上体を前方に倒しましょう。このとき膝は伸ばしたまま、無理はせずできる範囲で行いましょう。
これにより、股関節、内転筋と呼ばれる太ももの内側の筋肉、薄筋という股関節と膝関節をまたいでいる筋肉が鍛えられるといわれています。
ここまで読んで「ストレッチをはじめたい!」と思ったあなたは、もともと睡眠の質が低いという自覚のある人かもしれません。
ストレッチだけでなく、睡眠の質を上げるその他の方法を紹介。ストレッチに加えて、入浴・食事・寝る前の行動で、さらに睡眠の質を上げましょう。
厚生労働省による「健康づくりのための睡眠指針2014」には、入浴法についての項目があります。そこでは夜、寝る前の何時間前に入浴すればいいのか、その入浴方法について記載があります。
睡眠と体温の変化は密接に関係しているため、入浴は適切なタイミングに、40度程度の熱過ぎない湯に浸かり、軽く体温を上げることが大切。
これにより、末梢血管が拡張し、熱を放散させる身体の働きが活発になるといいます。人は眠りにつく際、体温を下げるためより寝つきがよくなり、深い睡眠につながりやすくなります。
ただし、注意したいのが湯の温度。42度以上になると体温が上がり過ぎて、心身共に目覚めてしまうといわれています。一般的には就寝1~2時間前の入浴で、38~40度程度の湯温が理想とされています。
食事は一見睡眠とはあまり関係がないと思われがちですが、実は大いに関係しています。厚生労働省による「健康づくりのための睡眠指針2014」では、しっかり朝食を摂ることで、目覚めやすくなるといいます。
寝る直前に食べると胃腸が消化活動を行っているため、なかなかスムーズに寝入ることができないといわれています。
お腹がいっぱいになると眠くなるといわれているため、たくさん食べたほうが寝つきがよくなると思われがちですが、熟睡はできていません。
人は熟睡するときに体温を下げる必要があります。胃腸が活発に消化を行っている最中は体温が高い状態。しっかりと消化活動が終わってから寝るようにしましょう。
食後3~4時間は経ってから寝るようにしたいものです。つまり、23時に寝る場合、最低でも20時までに食べ終えていなければならないことになります。飲み会が多い人、夜食習慣のある人は注意しましょう。
食事意外では、酒やたばこ、カフェインは睡眠を妨げます。いずれも寝る直前に行うと寝つきが悪くなったり、途中で目覚めやすくなったりします。
アルコールは一時的には眠くなるものの、寝ても中途覚醒が増えて睡眠が浅くなりがち。また、たばこのニコチンやカフェインには覚醒作用があります。
特にカフェインは、寝る前3~4時間以内に摂取すると入眠の妨げになります。コーヒー、緑茶、紅茶、ココア、栄養ドリンク剤などは寝る前に飲まないようにしましょう。
最近睡眠の質が下がっている気がするという人は、睡眠の質を上げるストレッチや、睡眠の質を上げるための注意点に気を配り生活してみてください。
文:風美紫紺
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