あなたにちょうどいい、リズム|Rhythm

Dr.DJ ATSUKO「カラダと脳にイイ音の話」Vol.5 〜リズム感を鍛えるとIQが高くなる!?〜

Dr.DJ ATSUKO「カラダと脳にイイ音の話」Vol.5 〜リズム感を鍛えるとIQが高くなる!?〜

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<SPECIAL>
Dr.DJ ATSUKO「カラダと脳にイイ音の話」Vol.5 〜リズム感を鍛えるとIQが高くなる!?〜

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脳科学者として「脳と音楽に関する研究」を続ける宮﨑敦子さん。前回は4回に渡って脳と音楽や音、あるいはリズムと身体の関係などについて、様々な観点から面白いお話をわかりやすくお聞きしました。脳科学の研究者でありながら、Dr.DJ ATSUKO名義でDJとしての活動も継続している宮﨑さんに、今回はカラダと脳にイイ音の話について、6回にわたってお伺いしていきます。第5回目は、リズム感とIQの関係についてのお話です。

宮﨑 敦子(みやざき・あつこ)
1970年福島県生まれ。大学院生時代から現在まで、大学院・大学・短大・専門学校でリハビリテーション分野の講師をしながらDJ活動をする。30代の時に、レコードを愛するあまりに渋谷区宇田川町にゆったり視聴できるレコード店 「COQDO RECORDS」をオープンする。40代で、研究者になりたいという夢が復活。東北大学大学院医学系研究科脳機能開発研究分野博士課程を修了し、2015年に医学博士号を取得。これを機にDJ ATSUKOからDr.DJ ATSUKOに改名する。現在は国立研究開発法人 理化学研究所で、脳と音楽の関係性について研究している。老後の夢は、研究結果を用いて、来店した客にピッタリなレコードを紹介できるレコード屋をオープンさせること。

Dr.DJ ATSUKO「カラダと脳にイイ音の話」Vol.4 〜人間同様にビートを感じる意外な動物とは!?〜より続く )

空間認知とリズム感の意外な関係とは!?

——脳と音についてのご自身の研究で調べたりしていることはどんなものでしょうか?

音を使って頭が良くなるといったことがないかといろいろ調べていました。巷にはIQテストというのがあります。いわゆる知能指数を測るテストなのですが、テストの点数が高ければ高いほど知能が高いということになります。IQというのは小学校低学年くらいに確立され、その後は生涯、ほとんど変わらないという説もあります。

IQテストといっても種類が色々あって、そのなかのひとつとして有名なのが、言語を使わない「空間認知課題」のテストです。下図の右側が、その問題。9マスある正方形のパターンが8つありますが、最後の空欄に入る正しいと思う図の番号を答える問題です。このような問題をひたすら解いていき、早く正しく何問解けたのかを見ることでIQが測られるわけです。


上の図の左上にある脳の画像を見てみましょう。上のほうが頭の前で、人の腹側と背側に分けた断面図(前額面)の右側になります。その下にある画像は画面の左側が顔の部分の断面図(矢状面)で右側の前の方の白質(脳の画像で白くみえるところ)で青く染まっている部分があります。この空間認知課題のスコアが高い人ほど、青く染められた部分が厚くなっていることがわかっています。

次に見ていただきたいのは、左側にあるグラフです。縦軸が青く染められた2か所の前頭前野の白質の体積で、横軸が空間認知課題のスコアです。このグラフから見てわかることは、空間認知課題のスコアが高ければ高い人ほど、脳の皮質が厚いと言えると思います。

リズム感がいい人は頭がいい!?

——IQが高い人ほど、右脳の前頭前野の部分が厚くなっているということですか?

そうです。そこでまたひとつ、空間認知課題とはまったく違うテストの話をしますね。今度はタッピング精度を見るテストで、メトロノームクリックに合わせてドラムパッドをドラムスティックで叩きます。その後、メトロノームが止まっても規則的なビートを叩き続ける。どのくらい正しい精度でドラムパッドを叩けているかをテストしています。

今度はグラフの右側を見て下さい。縦軸が赤く染められた2か所の前頭前野の白質の体積です。横軸がドラムパッドの叩いた精度のスコアです。叩いたズレが大きいと数値が大きくなります。つまり、ミリ秒単位で正しく叩ける人ほど脳の皮質が厚いということになります。そして、とても面白いことに、空間認知課題と正しく叩いてくださいというタッピング精度の課題という、一見まったく違う2つの課題において、右の前頭前野の白質を共有しているんです。

このことからわかるのは、空間認知課題のスコアが高い人はミリ秒単位でタイミングを正しく把握できるということ。この研究は音楽的なテストではないため、ちょっと極端な言い方になるかもしれませんが、敢えて言います。知能の高い人は課題の反応時間が速いことから、ドラマーやパーカッショニスト、ダンサーなど、ミリ秒レベルで正確にタイミングを捉えて反応できる能力が高い人ほど空間認知を把握する能力が高いということが言えると思います。


——正しくタイミングを把握できるというのは、つまり、リズム感がいい人ということでしょうか?

正確に言えば、正しくタイミングが取れる人ということになりますが、リズムもタイミングですし「リズム感がいい人は頭がいい」と言ってもいいかもしれません。ですから、子育て中の人が子どもが幼い頃からタイミングやリズム感を鍛えるようにしてあげると、IQも高くなり、賢い子に育つ可能性が高くなるとも言えますね。

<参考文献>
Ullén, Fredrik, et al. “Intelligence and variability in a simple timing task share neural substrates in the prefrontal white matter.” Journal of Neuroscience 28.16 (2008): 4238-4243.

撮影:宮下夏子
取材・文:國尾一樹

Dr.DJ ATSUKO「カラダと脳にイイ音の話」Vol.6 〜DJは認知症予防にも効く!?〜へ続く)

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