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「ロウニンアジの壮大なトルネード」パラオ・ダイビング Vol.5

「ロウニンアジの壮大なトルネード」パラオ・ダイビング Vol.5

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「ロウニンアジの壮大なトルネード」パラオ・ダイビング Vol.5

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世界有数のダイビング天国・パラオの海を極めたダイビングガイド・遠藤学さん。大学卒業後、一度は就職するも、海中世界への憧れを捨てきれず、脱サラしてパラオへ移住。その後、パラオの実力派ダイビングサービス「DayDream」のトップダイビングガイドとして、15年にわたり活躍。

様々なダイビングエリアの開拓に貢献し、多くのダイバーから信頼される人気ガイドとして、ダイビング専門雑誌の人気ガイド投票では、常にトップ10入りするほど。そんな遠藤さんに、ダイビングの魅力やパラオの魅力などを伺いました。

遠藤学(えんどうまなぶ)
中央大学卒業後、いったん就職するも、ダイビングの世界が忘れられず、世界有数のダイビングパラダイス、パラオに移住。その後、15年に渡ってパラオの実力派ダイビングサービスとして知られる「DayDream」のトップガイドとして活躍する。現在は第一線を退き、同サービスの日本事務所にて、後進の育成にあたっている。

第5回目は、遠藤さんが中心となって開拓した、太平洋戦争の激戦地ともなったことで有名なペリリュー島。多くのダイバーを感動させるロウニンアジの壮大な群れのお話です。

危険な海域、ペリリュー島でコース開拓

——ガイドは、普段から調査をしながら新たなダイビングのコースを開拓していくこともすると聞きますが、特に思い入れのある開拓コースというのはどこですか?

ペリリュー島で僕が中心になって開拓したコースですね。ロウニンアジっていう魚のあり得ないくらいの数の大群に高確率で出会うことができるようになりました。世界でもたぶん、ここだけでしか見れないような数です。

palau_5_image1

この大群を狙うことができるのが、太平洋戦争の激戦地となったことで知られるペリリュー島という、パラオのなかでも最南端に属する島です。

ものすごく潮の流れがキツいことでも有名なスポットで、ダウンカレントと呼ばれる、海の底へと引き込むような流れがあって、上級者向けの場所。しかも、当たり外れが大きく、ロウニンアジの群れには半分くらいの確率でしか出会えませんでした。

しかし、いろいろと調査をしてデータを取り続けることで、コースを読むことができるようになると、9割以上の確率でロウニンアジの群れを見ることができるようになりました。今ではパラオでもすっかり定番コースになって人気があります。それだけに個人的にはものすごく思い入れがあるコースですね。

——コース開拓のキッカケは何だったのですか?

もともと、僕の上司が冬季限定のペリリューステーションという、ペリリュー島にダイビングの拠点を作ったのがキッカケです。ペリリュー島付近の海というのは、先ほど言ったように非常に危険な場所なので、上級者しか潜れないとされる場所だし、当たり外れが大きい。当たればスゴいけれども、外れると何も見れないとされてきました。

そういうイメージを払拭していきたいということで、ちゃんと準備をした上で経験を積んだガイドがいれば、人気のロウニンアジを安全に高確率で見ることができる、というコースを開拓していったんです。

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ロウニンアジの壮大なトルネード

——ロウニンアジとは、どんな魚なのでしょうか?

アジの仲間では最大で、成魚は全長180㎝、体重80㎏にも達する大型の魚です。釣りの世界ではGT(ジャイアント・トレヴァリー)と呼ばれていて、釣り師にとってもアコガレの魚ですね。

なぜ、ロウニンアジと呼ばれているのかというと、そのルーツはいつも単体で行動している一匹狼的な浪人のような存在だからといわれています。群れを作らないとされる魚で、いわば孤高の存在というか、そんなイメージが強い。

ところが、そんな“浪人”のはずの魚が、パラオの海では最大で5000〜6000匹もの群れを形成しているんです。日本の屋久島やモルジブなどでも大群を見ることができますが、1000匹程度と聞いています。

もう、あり得ない数というか、奇跡的と言っても過言ではないほどの壮大な大群です。それがコンスタントに、ほぼ9割以上の確率で見られるというのは、間違いなくパラオだけです。

しかも、ただの大群ではなくて、うまくいくとイワシのトルネードみたいに大型のロウニンアジが渦を巻く。その渦の中に入ると、もう圧倒されっぱなしです。

グルグルと回るロウニンアジの渦に巻かれるというか……。僕のように何度も経験していても、毎回、言葉ではうまく言い表せないほどの感動体験になってしまいます。

なかには感動のあまり泣いてしまう人もいるくらいです(笑)。そういう姿を見ていると、本当にガイド冥利に尽きますね。

実は人間を脅している魚のトルネード

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——ロウニンアジがトルネードみたいに渦を巻くなんて知りませんでした。

魚の行動生態用語でモビングというんですけど、まったく違う魚がたくさんいる場所に、例えばサメなどの敵がやってくるじゃないですか。すると、ぜんぜん違う種類の魚たちが一致団結する。群れで渦状になって泳ぎながら威嚇して、サメを追っ払おうとします。

サメの周りをうわっと取り囲んで、プレッシャーをかけて渦の外に追いやるといった行動をとるわけですね。たぶん、ロウニンアジも同じことを人間に対してやっているんだと思います。

——人間を脅そうとしているとは、面白いですね(笑)。

ダイバーに慣れていない群れに出会うと、うわっとやってきてトルネード状態になって、しばらくすると逃げていきます。ただ、ペリリュー島近辺ではロウニンアジを目当てに多くのダイバーが潜るようになったので、どうしても慣れてきてしまう。釣りでいえばスレるという感じですね。だから、何もしないでいると放っておかれてしまって、寄ってきてさえくれない時もあるんです(笑)。

それだと面白くないので、水中で音を鳴らしたり光を使って刺激したりします。すると、威嚇しようとロウニンアジが寄ってくる。実は、そういった群れを操ることを僕は得意としていました。

パラオ人の智恵をヒントに魚を操る!?

——魚の群れを操るんですか!?

そうです。音や光が重要なんですよ。水中で鳴るブザーみたいなのを細かく連打して鳴らしたりだとか、シグナルフロートっていうオレンジ色の浮きみたいなのがあるのですが、それを上下させて「敵がやってきたぞ」っていう感じで警戒心を煽ると、群れ全体がグルグル回るようになります。

こういった群れを操る方法というのは、もともとはパラオの人の知恵から学んで、僕自身が発展させたものです。パラオでは昔、漁にココナッツを使っていたそうです。殻を割ってお椀のような形にしてから真ん中に穴をあけて、紐で結んで重ねる。それを水中でガシャガシャやると、サメが上がってくる。

そのサメの首にロープを引っかけて引き揚げるという面白い漁をパラオの人たちは昔からしていたそうです。それを応用して、最初はペットボトルを潰してガシャガシャと音を出してみたり、他にもいろんなことを試してみました。そうやって、ダイビングのガイドとして魚を操るテクニックを磨いてきました。

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写真:ペットボトルで音を立てて刺激しつつ、魚の群れを操る遠藤さん

それが他のガイドたちにもテクニックとして定着していったのですが、僕ほどコントロールできるガイドはまだいないだろうと自負しています! まあ、邪道なんですけどね(笑)。

思った通りに魚をコントロールできたときは、釣りでいえば、「思い通りにヒットした!」っていう感覚に似ているんですよね。そういう魚との駆け引きが楽しいんです。

「楽しかった!」という言葉が、ガイドとして一番嬉しい

——なんだか、魚と対話しているような感じですね(笑)。

対話というより、やっぱり、釣りをしいてる感覚と似ているんだと思います。どの魚にはどれが効くのか、それぞれ違うんですよ。長年、いろんな魚で実験してきましたが、アレコレ試しているうちに魚が逃げちゃって、お客さんが苦笑いしていたとか(笑)。

そんな失敗は数えきれませんが、一緒にどの魚にどの音が効くのか実験に付き合ってくれたり、誰もまだ潜ったことのないポイント調査に付き合ってくれるような、いいお客さんに恵まれました(笑)。

特にペリリュー島を中心に仕事していた頃はスキル的に問題のない方ばかり。冒険心や遊び心に溢れた人たちだったので、あまり仕事しているという意識は薄かったかもしれないですね。一緒に遊んでいるというか、そんな感じでいつも楽しく仕事させていただきました。

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実は以前、ある女性のお客さんに、「あなた、ここに何年住んでるの?」って聞かれたことがあります。「もう10年以上住んでいます」って答えたら、「いいわね、こんなイイところで毎日、遊んで暮らして!」って言われちゃいました(笑)。

本当はその裏で安全管理のことをしっかりしないといけないので大変なことも多いのですが、それをなるべく表に出さないようにするのも仕事ですからね。

やはり、お客さんに「楽しかった」と言っていただけるのが、ガイドとして一番嬉しいことですから。冗談っぽく言ってくださったそのお客さんの言葉は、僕にとっては最上級の褒め言葉だと思って、ありがたくいただいておきました。

——ロウニンアジのトルネード、実際に体験したら、本当に感動するんでしょうね。

次回は、パラオの大物の魚として大人気のマンタの話をお伺いします。

写真・資料提供:遠藤学・越智隆治・DayDream
取材:國尾一樹

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