歯磨きの仕方を最後に教わったのはいつの頃だっただろう。多くの人が遠い日の記憶を頼りに、ほぼ自己流で歯磨きを続けているのではないでしょうか?最近は電動歯ブラシも普及しつつあります。これを機に、正しい歯の磨き方を教えてもらおう。ということで、歯磨きのプロと言うべき歯科医師にお話を聞いてきました。
「歯磨きというのは歯に詰まった食べ物を取るのが主目的ではなくて、歯の表面に堆積しようとするプラークを除去する作業なんです」
まず歯磨きの基本を教えてくれた高島先生。プラークと食べかすは同じものだと思っていたのですが、実は細菌と代謝物の塊!なのだとか。
「プラークを放っておくとネバネバしてきます。このネバネバ自体がバイキンマンションと言っていいものなのですが、そのままにして24時間が経過すると(バイキンマンションの)構築が始まります。数日で成熟してさらに堅牢なマンションになっていき、こうなると落とすのが容易ではありません」
言うまでもなく、歯石やプラークは歯周病の大きな要因。口内が究極的に不潔な状態となり、歯の喪失につながっていきます。たとえ奥歯1本を失うだけでも噛み合わせののズレが始まり、それが体の軸がズレる原因となり肩こりや偏頭痛などを誘引することにも。
「そんな歯周病を防ぐためにも、食べたら歯磨きをするという習慣付けが大事です。歯周病は生活習慣病でもあるので、習慣を改善することが重要です」
とはいえ、歯磨きに時間を掛ける余裕がない人も多いはず。そんな人には、先生によれば「2分で磨ける」音波振動式の電動歯ブラシ(以下、音波振動歯ブラシ)が有効です。
「音波振動歯ブラシのメリットは、不器用な人でもブラシを歯に当てさえすればプラークを素早く落とせることです。速く磨ける分、朝食、昼食、夕食の後には歯をササッと歯を磨くようにしたいです」
メリットの多い音波振動歯ブラシですが、どうせなら正しい磨き方を身につけたいもの。そこで、美人歯科医直伝の2分で磨けるコツを伝授!より正確にプラークを取り除き、健康な体を手に入れましょう。
「正確な磨き順はありません。ただ、磨き残した歯を出さないようにするには、端から磨いて端で終わるというように、順番に磨いていくのが良いでしょう」。あっちこっち気が赴くままに磨くのでなく、順序良く磨くべし。
「磨き残しがちになる奥歯から磨き始めるのは1つの手です」。注意力が高いうちに、奥歯や歯並びが悪く磨きづらい箇所など、リスク部位から磨いておくのがコツです。右利きの人が磨きづらい右側の歯から磨き始めるのもあり。
「特に注意が必要な箇所を磨く際には、しっかりと磨けているか、鏡でチェックしながら磨きたいところです」。意識を高める意味でも効果的なので、ずっと鏡の前にいるのが無理なら、苦手な箇所を磨く時だけでも鏡の前へ。
「ブラシを歯に押し付けないことが重要です。ブラシの先を立たせた状態で磨く感覚で磨きましょう」。あまり押し付けると、歯や歯肉を傷付けてしまうだけでなく、歯の面からブラシの毛先が逃げてしまい磨き残しの原因にも。気合いを入れるよりも、優しく磨くことを心がけましょう。
「歯の1本、1面に付き2秒ずつ、ブラシを当てながら移動していきます。この磨き方で、28本の歯を磨くのに掛かる時間は2分ほどです」。欲張って複数本を一気に磨くのはNG。音波振動歯ブラシを使う際は、意識して1本1面ずつ磨いていくのが正解です。
「1本1本磨くことを意識すると同時に、1面ずつ磨きましょう。奥歯なら外側、噛み合わせ面、そして内側の3面をしっかりと磨きます」。前歯は、外側と内側の2面です。ブラシは歯と垂直に当たるように。
「音波振動歯ブラシのメリットは、速く磨けること。たった1度の歯磨きの時間を長くするよりは、1日に歯磨きする回数を増やしたいです」。コンパクトなタイプの音波振動歯ブラシであれば、会社に持って行き、ランチ後にササッと磨くのもさほど負担になりません。
「泡立つ歯磨き粉は、口の中で泡だった時点で過剰な爽快感を感じてしまいます。結果、なんとなく磨き終わったと錯覚してしまいがちになります」。そこで泡立たない歯磨き粉で、しっかりと磨いていくべきなのです。
構成・文/河原塚秀信 写真/下城英悟(GREEN HOUSE)
神谷町デンタルクリニック
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