自分は歯周病かもしれない…と疑っている。でも、何を手掛かりにすればいいのか分からず、困っている。そんなあなたのために、歯周病かどうかの簡易チェックを用意しました。
まずはチェックしてみてください。もし歯周病だった場合、進行度によって症状が異なり、治療法も変わってきます。そのそれぞれの治療法を確認しておきましょう。
まずは、以下の症状をざっと見て、今、あなたの口の中で起きていることがないか確認してみてください。もし一つでも当てはまれば。歯周病かもしれません。
・歯を磨いていると歯茎から血が出る
・歯茎がピンクではなく赤くなって腫れている
・歯茎が痛い、むずがゆい
・冷たいものや熱いものを食べると歯や歯茎がしみる
・朝起きたときに特に口の中がネバネバし、変な味がする
・歯磨きのときや、堅いものをかじると歯茎から血が出ることがある
・口臭が気になり始めた
・歯茎が痩せて下がり、歯が伸びた
・歯と歯の隙間が広がって食物が頻繁にはさまるようになった。
・強く噛むと痛みがある
・歯茎が腫れてブヨブヨしている
・歯茎を指で押すと血の膿が出る
・歯が浮いており、硬いものが噛めない
・歯が痩せて長くなったように見える
・口臭がひどくてどうしようもない
もしいずれかの症状に当てはまった人は、進行度は、初期、中度、重度の症状のうち、どれだったでしょうか。進行度によって治療法が異なってきます。
まずは、歯周病治療の基本的な流れから確認しておきます。
歯周病治療は、その進行度によらず、まずは歯周病検査をしてから基本治療を行います。その後、中度歯周病、重度歯周病になると、歯周外科治療が行われることもあります。
そして治療が終われば、検査をして治療の成果を見て終了。以後は、必要に応じて定期的にメインテナンスを受けることになります。
それぞれの内容を簡単にみていきましょう。
歯周病の進行度を検査して調べます。歯周病の進行度は「歯周ポケット」という歯と歯肉の境目にできる溝の深さと炎症で喪失した歯槽骨の量で分けられます。歯周ポケットは、プラークや歯石が、歯肉の炎症を起こすことで深くなるものだからです。
健康であれば深さは2~3mmほどですが、初期歯周病では3~5mmか2~3mmでも出血がある場合、中度歯周病では4~7mm、重度歯周病になると7mm以上の深さになります。この歯周ポケットの深さを見る検査は重要な歯周病検査の一つです。
また、どこが出血しているのか、プラークはどれくらい付着しているのか、歯がぐらついていないかの動揺の度合なども検査します。他にも、顕微鏡で歯周病菌の種類や量を確認する検査や、口臭測定、口腔内写真撮影、レントゲン撮影などを行うこともあります。
歯周病検査で歯周病の進行度が分かれば、それに適した治療法を行います。しかし、まずは、進行度によらず、すべての歯周病治療に共通する基本治療を行います。
飲食のタイミングや禁煙指導、歯磨きの回数や口腔ケアの正しい習得も含まれます。
例えば、プラークや歯石を除去する「スケーリング」や、歯の根っこの面に付着したでこぼこした歯石を除去し、歯の根っこの面を滑沢化する「ルートプレーニング」です。また、歯がグラグラする場合には、噛み合わせを調整するために歯を削ったり、隣の歯と接着したりすることも行われます。
その他、状態に応じて、さまざまな治療法が取られます。詳しくは、後ほど、症状別の治療法のところで解説します。
基本治療を行っても、歯周ポケットの深さが2~3mmに戻らず、進行してしまった場合には、外科手術が行われることがあります。
一通り治療が終われば、再び、歯周病の検査を行います。歯周ポケットの深さや歯周病菌の状態などが、治療前とどのように変化したのかを調べることで、治療がきちんとされたのかを確認します。
深くなってしまったポケットの清掃は、自宅で自分で行うのはむずかしいです。このことから、歯科医院で定期的に検診を受け、歯周ポケットの中を清掃・消毒するケアが必要になります。
歯周病は、歯周ポケットの深さに応じて、治療法が異なってくると述べました。そこで具体的に、歯周病の症状の進行度ごとの治療法をみていきましょう。
歯周ポケットの深さが3~4mm:
歯に付着した歯石やプラークを除去するスケーリングを行います。
2度目以降の検査でまだ歯周ポケットが4mm以上であれば(歯周ポケットの深さが4~5m):
スケーリング・ルートプレーニングという治療法で、歯茎の炎症部分を取り除きます。
歯周ポケットの深さが6~7mm:
中度になると、隠れた部分の歯石取り除く必要があり、こちらも「スケーリング・ルートプレーニング」で、歯周ポケットの深いところにある歯石や、歯周ポケットの中の壁に感染した組織、歯の根っこの表面にこびりついた汚れなどを除去します。手術は、歯茎に麻酔をして行います。
SRPのあと、3回目以降の検査でまだポケットが深い場合に、歯周外科が考慮されます。
歯周ポケットの深さが7mm以上の場合、治療法の一つに、歯茎を切開し、歯石を除去する「フラップ手術」があります。
歯石を除去した後は、縫い合わせて終わります。このフラップ手術は、中度歯周病でも場合によっては実施されることがあります。
歯がグラグラする場合には、かぶせものを使ってぐらついた歯を固定する「歯周補綴(ししゅうほてつ)」が行われることもあります。また、噛み合わせの調整を行うこともあります。
噛み合わせが悪いと、普段ものを噛むときに、歯周病がそこだけ力が加わることで悪化するケースがあるからです。痛みが出る原因ともなるため、歯を削るなどして調整します。
歯科医院の中には、歯周病治療が完了してから数ヶ月毎に、メインテナンスを実施することがあります。メインテナンスに訪れたら、まずは歯周病検査を受けて、治療後、どうなったかを確認します。
磨き残しのプラークの染め出しを行うこともあり、赤く染まっている部分がきちんと掃除できていない箇所が多ければ、口腔ケアの方法の見直し必要があることがわかります。
また、自分では取ることができない歯石を除去してくれたり、プラーク除去も自分では取り切れなかったものをしっかり除去したりします。
専用の器具で歯石・プラーク除去を行う「スケーリング」は、治療中だけでなく、メインテナンスでも実施されます。場合によっては、歯の表面のクリーニングや、フッ素塗布による虫歯予防などを実施することがあります。
また、ブラッシング指導は、通常、治療の際に受けるものですが、自宅でのケアがきちんとできていなければ、再度指導が行われることもあります。これらのメインテナンスは、歯周病治療後であれば、3ヶ月に1回のペースなどで、しばらく継続的に行われるのが一般的です。
歯周病簡易チェックリストでは、あなたの歯周病の進行度はどれくらいでしたか?
歯周病が怖いといわれるのは、症状が進行していても、痛みが出ない場合があることにも由来しています。チェックリストの項目のような、ちょっとした症状しか出ないこともあるのです。これが歯周病発見の遅れにつながってしまうことがあります。
今回、歯周病の症状に心当たりがあった人は、迷わずすぐに歯科医院を受診しましょう。早期治療は、どの進行度においても肝心です。
文:リズム編集部
監修:高島美祐 (神谷町デンタルクリニック)
高島 美祐(たかしま・みゆう)
早く確実に治したい方や、何度も再発してなかなか治らなかった方のために、マイクロスコープとCADを使った短期集中治療に特化した歯科医院「神谷町デンタルクリニック」を東京都港区虎ノ門にて開院。歯の病気が早産や生活習慣病、認知症につながることや、かみ合わせの不良により顔のバランスが乱れてしまうことなどを啓蒙している。超高齢化社会において、自分の歯をできるだけ長く残すための治療を実践しており、国内外からの来院がある。
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