あなたは今、なんとなく歯が黒くなっていたり、ちょっと歯がしみたりして「もしかしたら虫歯かも!?」とドキドキしているのかもしれません。でも、症状を少し感じる場合、すでに初期の段階を過ぎていることも多いのです。
そこで、初期の虫歯というものはどういうものなのか、そして、初期から中期、末期までの歯科医院での治療法を見ていきましょう。
虫歯は、虫歯になるまでの前段階である「CO(シー・オー)」という状態があります。これは、「要観察歯」ともいわれる状態で、「カリエス・オブザベーション」の略称です。カリエスとは「虫歯」のことで、オブザベーションは「観察」という意味です。
COでは「脱灰(だっかい)」が起きています。脱灰とは、酸によって歯の表面のエナメル質からミネラル成分がごく少量溶け出している状態のことをいいます。このミネラルが失われ続けると、歯の表面に穴があき、虫歯になります。
普通、唾液に含まれるカルシウムなどのミネラルが、歯に入っていきエナメル質に付着することを「再石灰化」と呼びます。この再石灰化と脱灰のバランスが崩れると、確実に虫歯になっていきます。現時点では、再石灰化を促すことで虫歯を食い止めることが可能です。例えば、歯垢を除去したり、フッ素を歯の表面に塗ったりする方法があります。
歯の表面のエナメル質が損傷してしまったら、初期虫歯「C1」と診断されます。この時点では、ミネラルやフッ素を塗るなどすれば、再石灰化の余地があるため、軽い治療で済むことがあります。特に日頃の痛みもないため、「これって虫歯なの?」と思う程度のものです。
C2からは、どんどん侵されていく範囲が多くなります。C2ではエナメル質の下の層である、象牙質が侵されます。この時点では、痛むというより、冷たいものや熱いものを食べたり飲んだりするとしみる程度です。虫歯部分を取り除いて、穴を詰める治療が行われます。
C3では神経の入った歯髄(しずい)が侵されます。C3までくると、神経が侵されるので、熱いものがしみたり強い痛みを感じたりします。そして、治療は歯髄を取る方法が取られます。
C4では、歯髄が侵され、さらに膿の袋までできることもある状態です。C3と同じく、腐敗した歯髄を取り、感染した歯質を除去し、土台を埋めて冠を乗せます。
このように、虫歯は進行度によって大きく症状や治療法が変わってきます。COの時点で気づくのはなかなかむずかしいものの、日頃から常にメンテナンスを心がけていれば、再石灰化が行われ、虫歯になりかけた歯も復活してくれます。
歯科でのミネラルやフッ素塗布、クリーニングなどを利用しながら、同時におうちでの歯磨きを徹底的に行いましょう。歯間ブラシやデンタルフロス、電動歯ブラシなどの併用でだいぶ、ケアのレベルも上がりますよ。
文:リズム編集部
監修:高島美祐 (神谷町デンタルクリニック)
高島 美祐(たかしま・みゆう)
早く確実に治したい方や、何度も再発してなかなか治らなかった方のために、マイクロスコープとCADを使った短期集中治療に特化した歯科医院「神谷町デンタルクリニック」を東京都港区虎ノ門にて開院。歯の病気が早産や生活習慣病、認知症につながることや、かみ合わせの不良により顔のバランスが乱れてしまうことなどを啓蒙している。超高齢化社会において、自分の歯をできるだけ長く残すための治療を実践しており、国内外からの来院がある。
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