歯を磨いている最中、ふと、歯茎から血が出ておどろいたことはありませんか?でも、これって決してめずらしいことではないんです。今や国民病とも呼ばれる、歯周病の可能性を疑いましょう。
しかし、歯磨き中、出血が起きても、歯周病であれば歯磨きをやめてはいけません。むしろ、放っておくと進行してしまいます。また、歯科医院で歯石を除去してもらったほうがいいこともあります。
歯磨き中、出血が起きている人は、ぜひ対処法と次なるステップを確認してみてください。
歯磨き中に出血するのは、多くの場合、歯周病が原因だといわれています。歯周病は、歯周病菌と呼ばれる細菌が、歯肉に炎症を起こし、その炎症が原因で歯の骨を溶かす病気です。そして、歯の骨にまで至るには、まず歯肉の炎症を起こします。歯肉の炎症が進むと、歯周病が悪化していきます。
歯磨き中の出血は、歯肉が炎症しているサインです。その歯肉に炎症が起きているということは、歯垢という細菌のかたまりが歯にたくさんこびりついている可能性が高いです。
出血した場合、「しばらくは歯磨きをしないほうがいいのでは?」と感じてしまうかもしれません。しかし歯磨きを怠っていると、歯周病が進行してしまいます。
歯肉が炎症しているのは、歯磨きなどの口の清掃を怠り、歯垢を増やした結果です。よって、歯磨きをしなくなれば、ますます歯垢が増えてしまいます。
歯周病は、いかにこの歯垢を取り去り、歯石化させないかが重要になってくるため、日々の歯磨きは欠かせません。
歯肉の炎症による出血が疑われる場合には、歯茎はそれほど刺激せず、歯と歯茎の間を磨くようにして、歯垢を取るブラッシングを心がけましょう。
歯垢は、およそ2~3日で石灰化が始まりますが、突然硬い歯石になるわけではありません。唾液中のカルシウムやリンなどがどんどん歯垢の中に沈着していくことで、硬くなって歯石になります。しかし、歯石になったらもはや歯ブラシでは落とせないので、よく注意してください。
その場合、歯科医院に行って、出血した旨を歯科医師に伝え、歯周病の進行度合いを診断してもらいましょう。歯石も取ってもらうことができます。
しかし、歯磨き中の出血は、すべてが歯肉炎とは限りません。病気が潜んでいることもありますので、異常に出血する場合などはすぐに歯科医院へ行きましょう。
文:リズム編集部
監修:高島美祐 (神谷町デンタルクリニック)
高島 美祐(たかしま・みゆう)
早く確実に治したい方や、何度も再発してなかなか治らなかった方のために、マイクロスコープとCADを使った短期集中治療に特化した歯科医院「神谷町デンタルクリニック」を東京都港区虎ノ門にて開院。歯の病気が早産や生活習慣病、認知症につながることや、かみ合わせの不良により顔のバランスが乱れてしまうことなどを啓蒙している。超高齢化社会において、自分の歯をできるだけ長く残すための治療を実践しており、国内外からの来院がある。