虫歯よりも恐ろしいといわれる歯の病気、「歯周病」。そういわれる理由は、最悪の場合、歯周病で命を落とすこともあるからです。実は、歯周病は放置することによって、さまざまな病気が起きてきます。
今回は、歯周病が原因となって起きる恐ろしい病気にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
歯周病とは、歯の表面にこびりつく歯垢(プラーク)を構成する細菌や、歯石の中に住む歯周病菌が、歯茎に炎症を起こして、さらに歯を支える骨まで破壊する病気です。最後には歯がぐらぐらして抜け落ち、口臭もきつい状態になります。
これを聞いただけで恐ろしいですが、実は、歯周病菌が猛威をふるうのは口の中だけに留まりません。
歯周病を発生させる細菌は12種類ほどもあるといわれています。その代表が「プロフィロモナス・ジンジバーリス菌」です。この歯周病菌は、糖尿病、循環器系疾患などの病気や、骨粗しょう症などにも影響を及ぼします。
歯周病によって悪化するといわれる病気に「糖尿病」があります。糖尿病は、血糖値を下げる役割を持つ「インスリン」の作用が足りないことにより、血糖値が高くなる病気です。そこへきて、歯周病菌は、体内に蔓延することによって、インスリンの司令をブロックしてしまうのです。インスリンは血糖値を下げるのに使われるため、血糖値が上がりっぱなしになってしまいます。
また、歯周病菌が血管内に入ると、動脈硬化のリスクが高まります。血管内で血栓という血のかたまりができることが理由です。こうなると狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などに陥る恐れも出てきます。
この歯周病、実は妊娠しているときにかかりやすくなるともいわれています。女性ホルモンのエストロゲンが、歯周病のもとになる細胞を増殖させることが一つの原因です。
妊娠後期になると、女性ホルモンの分泌が多くなるため、「妊娠性歯肉炎」になりやすくなります。また、妊娠中に歯周病にかかると、早産や低体重児のリスクが高まるといわれています。
実はこの妊娠中の歯周病によるリスクは、たばこやアルコール、高齢出産が持つ早産や低体重児のリスクよりも、はるかに高い確率といわれているのです。妊娠を希望する場合には、確実に歯周病を治しておくことが重要といえそうです。
このように、歯周病は全身の疾患にも大いに関係しています。ときには、妊婦の出産にまで影響を及ぼします。侮ってはいけない歯周病。早期からケアと治療を行っておきたいものですね。
文:リズム編集部
監修:高島美祐 (神谷町デンタルクリニック)
高島 美祐(たかしま・みゆう)
早く確実に治したい方や、何度も再発してなかなか治らなかった方のために、マイクロスコープとCADを使った短期集中治療に特化した歯科医院「神谷町デンタルクリニック」を東京都港区虎ノ門にて開院。歯の病気が早産や生活習慣病、認知症につながることや、かみ合わせの不良により顔のバランスが乱れてしまうことなどを啓蒙している。超高齢化社会において、自分の歯をできるだけ長く残すための治療を実践しており、国内外からの来院がある。
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