なんだか最近、奥歯が痛くてたまらない…。奥歯といえば親知らず。もしかしたら、親知らずが痛んでいるのかもしれません。でも、親知らずの生え方には個人差があり、どのような原因で痛みが発生しているかの判断をつけるのは、とてもむずかしいものです。
そこで、今回は親知らずが痛むときの原因と対処法をご紹介します。
「親知らず」とは、その名の通り、「親が知らない間に生えてくる」ことから名付けられた歯の俗称です。他の永久歯が生えそろった頃、およそ20歳前後に生えてきます。上下左右の4つあり、一番前の歯から8番目の歯です。
しかし、この親知らずは個人差がとても大きいのが特徴です。生えてこない人もいますし、まっすぐ生えてくる人、斜めや横向きに生えてきてほとんど埋まっている人などさまざまです。しかし、きちんと生えてこないことが多いため、普段の歯磨きが行き届かず、虫歯になってしまう人も多いといわれています。
親知らずが痛む原因として、主に次のことが考えられます。
●虫歯
●隣の歯を押しながら生えていることで、歯並びがずれて噛み合わせが悪くなることによるもの
●親知らず付近の歯茎の炎症
もともと奥歯は、食べかすや汚れを取り損ねることが多く、細菌による炎症が起きやすい箇所です。
それに加えて、親知らずは、まっすぐに生えてこないことがあるため、余計に食べかすや汚れがたまりやすいところがあります。気づかぬうちに歯茎の炎症や虫歯が進み、痛みが出るといったことがよくあります。
また、親知らずにより、隣の歯が押されてくることにより、噛み合わせの不調和が起き、痛みが生じることが多くあります。
こうした親知らず付近の炎症のことを、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼びます。智歯とは親知らずの正式名称です。
こうした智歯周囲炎や虫歯などを治療するための方法は、状況や症状によって異なります。重症になるとますます虫歯や炎症が拡大し、隣の歯に虫歯が移ったり、扁桃周囲炎などに進行したりする可能性もあります。
炎症している場合、抗生剤などを用いることもありますが、炎症がたびたび起きる場合には、親知らずの抜歯が推奨されることがあります。
虫歯の場合は、解剖学的に正しい位置にまっすぐに生えている親知らずであればそのまま通常通り治療がされますが、斜めや横向きに生えている場合には抜歯が選択されることもあります。
親知らずの痛みは、自分の予想のつかない原因があるものです。まずは歯科医院で状況を確認してもらうといいでしょう。
文:リズム編集部
監修:高島美祐 (神谷町デンタルクリニック)
高島 美祐(たかしま・みゆう)
早く確実に治したい方や、何度も再発してなかなか治らなかった方のために、マイクロスコープとCADを使った短期集中治療に特化した歯科医院「神谷町デンタルクリニック」を東京都港区虎ノ門にて開院。歯の病気が早産や生活習慣病、認知症につながることや、かみ合わせの不良により顔のバランスが乱れてしまうことなどを啓蒙している。超高齢化社会において、自分の歯をできるだけ長く残すための治療を実践しており、国内外からの来院がある。
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