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ブラジリアン柔術のアスリートモデルとして、さまざまなメディアで幅広く活躍している東あずささん。その美しい容姿と屈託のない笑顔の裏に、実は、いくつもの試練や葛藤の日々がありました。今の自分に至るまでの心の動き、そして、今の自分をつくるきっかけとなったブラジリアン柔術について、東さん自身が語ります。
東 あずさ(あずま・あずさ)
1994年、岩手県大槌町出身。17歳で上京し、モデルデビュー後は、ファッションショーやヘアショーなどに多数出演。長年柔道部で鍛えられた身体を生かし、現在はブラジリアン柔術のアスリートモデルとして、テレビや雑誌など幅広いメディアで活躍中。
—東さんは、子どもの頃からモデルになるのが夢だったのですか?
いいえ、まったく!どちらかというと裏方の仕事に就きたいと思っていました。美容に興味があったので、人をキレイにする仕事、エステティシャンとかネイリストになりたいなって思っていました。
—それは意外です。では、モデルになったきっかけは?
東日本大震災がきっかけでした。
私の出身地は、岩手県の大槌町。ご存知の通り、震災で壊滅的な被害を受けた地域です。あのとき私は高校1年生、17歳でした。大事な人、大切なものをたくさん失い、つらい思いを抱えながらも、家族や地域の人たちと支え合いながら、ひたすら前を向いて過ごす日々。
そんな折に、東京から支援物資を届けてくださった方に声をかけられ、今の事務所を紹介されたのです。故郷がこんな状況に陥っている中、ここを離れてしまっていいのか。多くの人が大変な思いをしているのに、私だけ都会の華やかな世界に飛び出してしまっていいのか。とても悩みました。でも、いろいろな人に相談し、迷い、考え抜いた末に、上京することを決断。それが、私がモデルになったきっかけです。
—高校生で親元を離れ、東京で寮生活。学業、モデルの仕事、そして私生活と、大変だったのではないですか。
そうですね。田舎育ちの何もわからない私が来るべき世界ではなかったんじゃないかと思ったこともありました。でも、自分で決めたことですし、何より負けたくなかったんです。だから、頑張らなきゃって、常に自分を奮い立たせていました。
—その強い負けん気は、どこから生まれてきたのでしょうか。
一つは、やはり震災ですね。つらい経験から、頑張る力、立ち上がる力を得て、精神的に強くなりました。
もう一つは、中学、高校と続けてきた柔道でしょうか。
私は子どもの頃、まるで男の子のような、活発な女の子だったんです。放課後はいつも外で遊んでいましたし、わんぱく相撲に出たり、野球をやったりと、男の子っぽいスポーツばかりしていました。
柔道は、もともと姉がやっていて、半ばムリヤリ始めさせられた感じではありましたが、私には合っていたんですね。女子部員は私1人だったんですが、中3のときには、キャプテンをやるほど柔道が好きになっていました。
—その柔道が、今、東さんがアスリートモデルとして力を入れられている、ブラジリアン柔術にもつながっていくんですね。
モデルの仕事を始めた当初から、柔道の経験をいつか何かにつなげられたらと思っていました。2年前に、「ブラジリアン柔術をやってみないか」という話をいただいたときは、「よし!これができるのは私しかいない!やっと私の時代が来た!(笑)」と思いました。
柔道経験者ということで、はじめから本格的に取り組んではいましたが、正直当初は、柔術を、モデルの世界で生き残っていくため、売れるため、有名になるための自分の一つの武器にしようという思いがありました。
でも、柔術を始めて2年経ち、試合に勝つうれしさや負ける悔しさを経験し、青帯を取得した今は、純粋に柔術が楽しく、好きになりました。柔術をたくさんの人に知ってもらい、競技を広めていきたい、という思いに変わってきています。
週5です。仕事が終わった後に道場に行って、2時間くらい稽古しています。もう習慣化しているので、毎日汗を流さないと落ち着かなくなってしまいました。
—スゴイですね。一方で、ピラティスもやっていらっしゃるとか。
はい。ピラティスも、2年前くらいから、週1回通っています。こちらは、モデルとして、ヘルシーでほどよい筋肉をつけて、女性らしいしなやかな身体にするため、ケガをしない身体にするためのケアとして続けています。積み重ねていくうちに、自分で自分の身体の状態がわかるようになり、強い身体になってきました。
—食事にもこだわっているのですか?
はい。柔術は、食事も大事な要素。帯別、体重別に試合が行われるので、場合によっては、試合前に短期間で減量する必要があります。私も、同じ道場の柔術家の方に話を聞いたり、自分で調べたり勉強したりしながら知識を増やし、日々、オリジナルのアスリート飯を考案しています。
作った料理を、お気に入りの器にキレイに盛りつけて写真を撮るのも楽しみの一つです。柔術で得た食事の知識は、モデルとしての体型維持にも役立っています。
—もう、れっきとしたアスリートモデルですね。
以前は、携帯の待ち受け画面に細くてかわいいモデルさんを載せて、こうなりたい!と目標にしていたのですが、最近憧れるのは、カッコいい、たくましいアスリート女性。欲しいものは、洋服ではなく、胴着やフィットネスウエアばかりです。だいぶ変わりましたね。(笑)
見た目の姿からは想像できない、東さんの心身の強さ、チャレンジ精神に、驚かされた方も多いのでは。
次回後編では、東さんの美ボディの源でもあるブラジリアン柔術について、その魅力や、東さん自身が実感しているメリットなどをお届けします。鍛えたい女性必見です!
(鍛えたい女性必見!強く、健康的な美ボディは、ブラジリアン柔術で手に入れよ!【東あずささんインタビュー後編】へ続く)
写真:ジェニー鈴木
文:鈴木友紀
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