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バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.6

バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.6

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バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.6

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フードライター&エディターの浅野陽子です。
 
1980年代後半のバブル期に起きた「イタ飯(めし)」ブームから30年あまり。パスタ、ピッツァ、カルパッチョなど、イタリアからやって来た料理であることを忘れるほど浸透し、日本の食卓にイタリア料理は欠かせなくなりました。「パスタは家と外で週2〜3回食べる」という人も少なくありません。
 
しかし筆者自身を含め、イタ飯ブームの当時、子供だった世代も中年以上になりました。食べ歩き好きの大人も増えたいま、日本人はこの30年で目を肥やし、「本物」と呼べるイタリア料理や食材をきちんと食べているでしょうか?
 
この壮大なテーマについて、イタリアの食のプロたちに「本物のイタリアンの選び方・楽しみ方」について取材し、シリーズで紹介します。過去の連載はこちらをご覧ください(第1回第2回第3回第4回第5回

シリーズ第6回目は、1977年創業のイタリア食材&ワインの専門輸入商社で、まさに日本のイタリア料理ブームを牽引してきた第一人者である「モンテ物産株式会社」の開発部・マーケティング室長の松嶋直矢さんに「本物のイタリア料理」についてお話を伺いました。(取材場所は東京・青山にある同社のアンテナショップ「カ・モンテ」)


CA'MONTE(カ・モンテ/モンテ物産株式会社のアンテナショップ&ワインバー)
<店舗情報>
東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビルB1F
東京メトロ・表参道駅 徒歩4分
03-5466-4535
平日/10:00〜L.O.19:30
土日祝/11:00〜L.O.17:30
年末年始休


1977年創業、日本のイタリア料理を40年以上先導してきた「モンテ物産」

モンテ物産は、日本の「イタ飯ブーム」前夜、日本人にまだイタリア料理への理解がほとんどなかった時代に創業された、イタリア食材とイタリアワイン専門の輸入商社です。

日本で「本物のイタリア料理の味わい、楽しみ方」をもっと広く伝えようと1977年、日本モンテジソン株式会社(当時からイタリアワインや食材などを輸入していた企業で、モンテ物産の前身)の一部門が独立し、設立されました。


写真:「カ・モンテ」店内ではワインと並び、イタリア料理のシェフが愛用するプロ向け食材が気軽に購入できる。ナポリで最もシェア率が高いピッツァの粉「カプート」。

モンテ物産・ミラノオフィスには、イタリア中の美食とワインが日々持ち込まれる

モンテ物産で扱う商品は、パスタやオリーブオイル、トマトソースなど、日本人におなじみのイタリア食材をはじめ、ピッツァやパンの粉、チーズ、サラミや生ハムなどの加工肉類、ジュース、ミネラルウォーター、コーヒー、バルサミコ・アンチョビといった調味料まで。

あらゆるイタリア食材を現地で厳選し、日本での正規輸入元として仕入れ、レストランや小売店に届けています。またワインの輸入商社でもあり、イタリアの全20州すべての州で造られるワインを取り扱っています。


写真:日本であまり見かけない銘柄のオリーブオイルやバルサミコなども。同じメーカーでも、味がしっかりしたもの・やわらかいものなどタイプや個性が異なる商品を各種取り揃えている。

しかし日本でイタリア料理は非常に人気が高く、イタリア食材を扱う会社もたくさんあります。競合も増えたいま、モンテ物産ならではの強みはなんでしょうか?松嶋さんに伺いました。

「当社は、日本のイタリア料理の黎明期から、『本物のイタリアの食文化』を伝えることを使命としてきました。当社の創業まもない1970年代は、日本でオリーブオイルですら『どうやって使うの?』と戸惑われる状況でしたが、社長をはじめ社員たちが頻繁にイタリアを訪れ、さまざまな商品を直接見つけてきました。

そのため、我々はイタリア現地のメーカーから認知度が高く、さらに1999年にはミラノオフィスも開設し、現地で強固なネットワークを築いています。ミラノオフィスには、毎日のように新商品が持ち込まれ、その中から優れた商品を日々厳選し、日本に持ち帰ってレストランや小売店さんにご紹介しています」(松嶋さん)

写真:シンプルなトマト缶でも創業当初から取引している生産者から、最高品質の商品を輸入している。社員が研修で日本から工場に出向き、現地のパート女性と共にトマトを選別し、汗を流す場面もある。

「本物のイタリア」が東京で体感できるアンテナショップ「カ・モンテ」


そして2018年、東京・青山にモンテ物産のイタリア食材・ワインを体感できるアンテナショップ「CA'MONTE(カ・モンテ)」をオープンしました。コンセプトは「イタリアのワインと料理、そしてイタリア独自の地域性や文化を発信する店」。

同社が輸入するイタリアの厳選食材とワインが一箇所に集まり、食のプロでない、一般の人でも誰でも購入できます。


写真:日本で独占販売するパスタ「マンチーニ」。独特の力強い歯ごたえが特徴で、都内の有名店のシェフにも愛用者が多い。

店内ではイタリア料理店のシェフが愛用するプロ用のさまざまな食材を購入できるほか、バーコーナーもあります。グラスワインやエスプレッソ、イタリア産のフルーツジュース、生ハムやチーズ、オリーブなどのおつまみを注文できます。

ここで気に入ったワインや食材を買って、家で楽しむ人も多く、まさに「東京で本物のイタリアを体験できる場所」として、イタリア好きのファンが通っています。

お客さまは20-40代の女性中心ですが、シニア男性が一人でふらりとワインを飲みに来たり、「イタリアワインの選び方がわからない」とプレゼントの相談に来る人もいるとか。

イタリア全20州のワインが集結する、都内でも希少なイタリアワイン専門売り場


カ・モンテの店内ではイタリア全20州のワインが購入できるのが特徴です(すべてモンテ物産が独占輸入)。ワイン専門店で、店内に試飲用のバーを設けている店は多くありますが、イタリア全州のワインが一箇所ですべて揃う店は、日本国内でも稀です。

「国土が南北に長いイタリアは、気候や風土の差が大きく、郷土によって味も異なります。また、余分な手を加えすぎず、素材の持ち味を生かした料理が多いなど、和食との共通点もたくさんあります。産地ごとに使うぶどう品種や香り、味わいもそれぞれ違いますが、イタリアのあらゆる州のワインがこれだけ揃えば、日本の魚料理なども含め、お好みに合うイタリアワインを必ず見つけていただけると自信を持っています」(松嶋さん)


写真:松嶋さんいちおしの「フォンタナカンディダ サンタ・テレーザ フラスカーティ・スペリオーレ」(白)。手頃な価格なのに芳醇な香りと厚みがあり、同店でも人気銘柄の一つ。和食を含め、料理を選ばない万能ワイン。

松嶋さん自身が、イタリアの食とワインにどっぷり魅せられた理由

現在30代後半の松嶋さん。もともと理系専攻のはずが、高校時代にNHKの教育番組で耳にした、イタリア語の流れるような響きに魅せられて以来、20年間どっぷりとイタリアに取り憑かれ、現職に至ります。

大学在学中にイタリアへ2年間語学留学し、モンテ物産入社後も、ミラノ支社に約5年間駐在。駐在員時代には、日本から来るシェフやソムリエと一緒にイタリア各地の食の生産現場やワイナリー、レストランを訪問。プライベートを含めると、駐在中にのべ2200軒(!)分のフルコースを食べ歩いたそうです。


写真:イタリア南部で人気NO.1のエスプレッソのブランド「キンボ」。南イタリアで好まれる、濃厚な味わいが特徴。

「それでも、日本に帰る頃になってもまだ自分の知らない、チーズやその土地独自のパスタなど、魅力的な食材がどんどん出てきて困りました(笑)同時にイタリアの食の、底知れない奥深さを実感しました。イタリアの各地方に行くと『うちの街に来たらこれを食べなきゃ(飲まなきゃ)だめだよ』と勧められる、地元の料理やワインが素晴らしいのです。

イタリア語に「Campanilismo(カンパニリズモ=郷土愛)」という言葉があります。近年の日本では薄れつつあるような情熱を、イタリアでは誰もが強く持ち続け、大事に守っていることがイタリアの最大の魅力だと思います。そうした情熱を込めた食文化を、日本でも広めることが当社の使命であり、同時に自分の役割でもあります」(松嶋さん)


写真:ガルム(イタリアの魚醤)とパスタソース。ガルムは南イタリアの家庭でよく使われる調味料。ゆであげたパスタに少量加えるとナンプラーのような旨味が加わる。

日本人はいま「本物のイタリア料理」を食べているか?

そして最後は本題へ。過去のイタ飯ブームから続いて「日本人はいま、本物のイタリア料理を食べているか?」

当連載では各イタリア業界のプロに同じ質問を聞いてきましたが、松嶋さんの答えは少し異なって…?


「イタリア駐在時代にたくさんのレストランを回りましたが、各都市の有名店では見習いとして働く日本人の料理人が必ずいました。イタリア各地方の料理や食文化を学び、日本に持ち帰って正確に伝えようとしているシェフたちの努力は素晴らしいです。

またイタリアでの修業経験はなくても、現地の調理技法などを日本で再現しているシェフはたくさんいますし、私自身、駐在を終えて帰国すると、わずか5年のうちに知らないイタリア料理店が増えていたことにも驚きました。我々のお取引先である小売店では知識が豊富なバイヤーさんが確実に増えており、カ・モンテに来店される一般のお客さまでも、州ごとのワインや食文化の違いに詳しく、舌が肥えている方もいらっしゃいます。

総合して、バブル時のイタ飯ブームを経て、本物のイタリア料理は、確実に日本人に浸透しつつあると思います。

ちなみにこれは私の意見ですが、日本で料理に使う素材は、イタリア現地とまったく同じである必要はありません。パスタのゆで加減やソースの乳化(※)のさせ方、肉の火入れなど、現地の技法を日本で伝えることが大事です。特に生鮮品に関しては鮮度の良い日本各地の名産品を、イタリアの調理技法で提供すれば、それこそが日本人が作る本物のイタリア料理であり、日本でできる食の表現方法だと思います」(松嶋さん)

※乳化=パスタのソースを仕上げる際、ゆで汁(水)とオリーブオイル(油)をよくまぜてとろみをつける技法


写真:カ・モンテの桝田忍店長(中央)、澤田磨美さん(左)、岡本真美さん(右)。「当店のバーで、グラスワインを楽しんでから、同じものをボトルで買っていかれるお客さまは非常に多いです」(桝田さん)

40年あまり前に創業し、日本のイタリア料理ブームの黎明期から「本物のイタリア料理」を日本人に伝えてきた、モンテ物産株式会社。イタリア料理の名店で愛用されている食材やワインが、青山のアンテナショップで一般の人も手軽に購入できるようになり、本物のイタリア料理は日本でより一層身近になりました。

松嶋さん、ありがとうございました!
 
協力:
モンテ物産
カ・モンテ

取材&文・写真:浅野陽子

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