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バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.1

バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.1

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バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.1

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フードライター&エディターの浅野陽子です。今回は日本人におなじみのイタリア料理についてです。
 
1980年代後半のバブル期に起きた「イタ飯(めし)」ブームから30年あまり。パスタ、ピッツァ、カルパッチョなど、イタリアからやって来た料理であることを忘れるほど浸透し、日本の食卓にイタリア料理は欠かせなくなりました。「パスタは家と外で週2〜3回食べる」という人も少なくないと思います。
 
しかし筆者自身を含め、イタ飯ブームの当時、子供だった世代も中年以上になりました。食べ歩き好きの人も増えたいま、大人はこの30年で目を肥やし、「本物」と呼べるイタリア料理や食材をきちんと食べているでしょうか?
 
この壮大なテーマについて、イタリアの食のプロたちに「本物のイタリアンの選び方・楽しみ方」について取材し、シリーズで紹介します。


シリーズ第一回目は、イタリア・パルマハム協会より来日中の同協会事務局長のステファノ・ファンティさん(写真上)と、同協会の日本窓口を2001年から現在まで17年間務め、さらに近年ではパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会にも携わる広報担当のEさん(ご本人希望により文中ではイニシャル)にお話を伺います。
 


パルマハム協会(Consorzio del Prosicutto di Parma)
「パルマ」の名称とイメージ保護を目的に1963年に設立。
「Prosciutto di Parma (プロシュット・ディ・パルマ/和文名:パルマハム)」は登録商標であり、原産地呼称名としてワインなど他の伝統的食材と同じくEU法で保護され、模倣品や類似品が「パルマハム」を名乗ることは禁じられている。
日本での窓口【「パルマハム・インフォメーションセンター」


パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノは子供時代から毎日食べる


−−今日は、日本人にもおなじみで、イタリアを代表する食材でもあるパルマハムについていろいろ伺います。まず基本的な質問ですが、イタリアで生ハムはよく食べられていますか?

はい、私はパルマ育ちで、子供の頃は毎日食べていました。イタリアの学校にはおやつを食べる休み時間(「Merenda(メレンダ)」)があり、サンドイッチにしていました。いまでも子供たちは毎日パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノを食べています。


画像提供:パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会
 
−−日本では高級食材を、子供時代から毎日食べるとはうらやましいですね!大人も生ハムはよく食べていますか?

パルマでは一週間に2〜3回食べるのが普通です。そのままや、メロンやアスパラガスなど旬の具材と一緒に食べます。イタリア全体ではパルマハムを6〜7人に1人が平均週3回以上食べるという当協会のデータがあります。


写真:甘いメロンやいちじくなどと相性抜群のパルマハム

世界一「甘い」生ハムは豚のもも肉と塩だけで作られる

−−パルマ産の生ハムは有名ですが、日本ではパルマ以外の生ハムも多く見かけます。

パルマ以外のイタリア国内や、スペインにも産地はあり、生ハムの種類は多様です。しかし、原料に使う豚の品種指定から生産管理、熟成の方法はパルマハムとは異なります。
 
−−パルマハムとそれ以外の生ハムはどんな違いがありますか?イタリアの生ハム同士は、共通する部分もあるのでしょうか?

いえ、パルマハムはイタリアの他銘柄やスペイン産の中でも製造基準が非常に厳しく、味わいは繊細で世界一甘みがあると言われてます。塩分などの科学的数値でも証明されています。


写真:パルマハムは透けるほど薄く切るのが美味とされる

−−日本人の旅行者で「“生ハムはしょっぱい”と思っていたけれど、イタリアでパルマハムを食べたら優しい味でびっくりした」 という声も聞きますよね。

パルマハムの原型は紀元前100年から作られ、2000年以上の歴史がありますが、製法は古来のままで材料は豚のもも肉と塩のみです。添加物や保存料は現代でも使わず、塩が肉の腐敗を防ぎ、なおかつ熟成させ旨味に変えてくれます。

実は、塩を大量に使うほど腐敗しにくいので「生ハムをしょっぱく作る」のは簡単です。しかしパルマハムは塩の量を極限まで抑え、独自の伝統技術でゆっくり熟成させ「最もまろやかで甘い」味に仕上げます。

2017年には日本でも正規品が選びやすくなった

−−パルマハムは「イタリアの生ハムの王様」ですね。日本で正しいものを見分けるコツはありますか?


画像提供:パルマハム協会

真正品のパルマハムには「PARMA」の王冠の焼印があります(上記)。スーパーで販売するパッケージの包装にも同じマークが必ず入っています。取り扱いの多いレストランでは店頭にも王冠マークを掲げています。

さらに2017年には、日本の農水省の【「GI(地理的表示基準)産品」】としても認定されました。日本で認められた初の海外製品だそうで「パルマハム」や「PARMA」の名称が日本でも厳格に守られるようになったのです。

−−なるほど!日本でも、正規品のパルマハムをきちんと選べるようになったのですね。


画像提供:パルマハム協会

イタリア料理ならではの「地域色」を日本人に知ってほしい

つづいて約20年という長きにわたり、日本でパルマハムなどイタリア食材の普及に携わってきた広報ご担当のEさんにもインタビューに参加していただきました。


−−80年代のイタ飯ブームから知っているEさんから見て、近年の日本でのイタリア料理の変化をどのように感じていますか?

長らく担当してきたパルマハムをはじめ、高品質のイタリア食材が日本で手に入りやすくなったのは、嬉しい限りです。私が仕事で会うイタリアの職人たちは、日本人の「イタリア人は陽気でルーズ」のイメージとは異なります。日本人以上に真面目で熱意があり、正しいイタリア食材を世界に広めるべく、真摯に食を追求している人ばかりです。


写真:「洋梨とパルミジャーノ・レッジャーノのサラダ」

イタリア料理は州ごとに調理法や使う食材が大きく異なり、地域色が豊かです。しかし一部のグルメや、イタリアを訪ねた経験がある方以外には、その地域性があまり浸透しておらず、日本ではカルボナーラ、ペスカトーレ、ピッツァなど、異なる都市から来た食文化がまとめて「これぞイタリア!」と扱われていることにどうも違和感があります。


写真:パルミジャーノ・レッジャーノは切らずに「かち割った」かたまりの状態で味わうのが最も美味とされる

−−イタリアは南北に細長くて気候も違いますし、元は全20州が独立国家で食文化も大きく異なっていますよね?

特に違和感を感じるのが、日本で大人気の「バーニャ・カウダ」です。北部のピエモンテ州(州都はトリノ)の名物料理で、イタリアではピエモンテ以外では絶対出てこないのに、日本だとどのイタリア料理店でも出てくる(笑)

−−ではEさん自身が、日本でイタリア料理店を選ぶ基準は?

「イタリア独自の郷土性を大事にしている」お店を選ぶようにしています。地元のオリジナルの味を踏襲し、独創性があり過ぎていないことや、料理名に生ハムやチーズ、だけでなく「◯◯産の」と産地まで明記されていると、とても信頼できます。 食材はワインと違って保存がきかず、鮮度を管理して使いこなすのは、熟練したシェフでも難しいんです。

ブームから30年でも、真の理解はこれから


−−食材や産地にまで熱心かどうか見る、というのは正しいイタリア料理を食べる第一歩なんですね!

(ステファノさんが加わり)私の住むヨーロッパでは、ミシュランの審査員は料理の出来栄えだけでなく、使っている食材の品質も厳しくチェックしていると聞きます。

−−今回のテーマの「いま、日本人は本物のイタリア料理を選べているか?」についてEさんが感じられることは?

バブルから30年と聞くと長いですが、イタリア料理を含め、日本で西洋料理が一般的に広まってからまだ90年くらいなのです。日本人が「真のイタリア料理を理解する」のは、自分を含めてもまだ発展途上段階だと感じます。

しかし若い世代は外食にお金を使わない傾向で、こうした話に関心があるのは40代後半から50代以上の方が多いように思います。イタリアには各都市に素晴らしい食文化がたくさんあるので、若い方にも楽しんでいただきたいです。

−−本当にそうですね…フードライターとしても、切に感じます。ステファノさん、Eさん、ありがとうございました!次回以降もこのテーマをさらに掘り下げます!

協力・写真提供:パルマハム協会パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会
取材&文・写真:浅野陽子

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