みなさんこんにちは!経絡整体師の朝井麗華です。
今年の夏は本当に暑かったですね。こうも暑いと夏の間に体内に貯めこんでしまった疲労感が心配なところ。みなさん、体調はいかがですか?
さて、私が整体師として今までにたくさんの方の施術をして感じてきたことは、何事にも「血」が関係しているということです。冒頭の疲労感の蓄積もこの「血」が正常ならば問題になりません。しかしこの現代社会、たくさんの美容健康情報が飛び交っているにもかかわらず、世の中には血液に関連する不調が目白押し。肩こり、冷え性、くすみ、高血圧、脳梗塞・・・例を挙げるとキリがありません。
そこでこれから数回に渡り、経絡整体師視点で「血」をテーマにお伝えします。東洋医学でいう「血」は西洋医学でいう血(血液)とは異なるちょっと不思議な世界。現代医学はもちろん、加えて古来からの健康の知恵も知った上で、ご自身に最適な対処法を選択していくことはとても大事なこと。これがそのきっかけになれたら幸いです。
まず「血」について。私が施術の手法で重んじている中医学でこれを説明しますと、「血」と書いて「けつ」と読むことが多く、〝血管中の赤い液体状の物質〟であり、かつ〝人体を構成し生命活動を維持する物質のひとつ〟と捉えます。いわゆる〝血液〟そのものも指しますし、人間が生きるために必要な〝血液循環が生み出すエネルギー〟のことも含むのです。さらに言うと、「血」の働きは全身に栄養を届けるだけでなく、人間の精神活動も支えているということです。
過去の記事で幾度か「人間は「気・血・水」という3大エネルギーで成り立っている」とお伝えして参りました。この3つは切り離せるものではなく、互いに強く関係し合う存在であり、例えば「血」を作るのは「気」と「水」です。よって、いくら高血圧で降圧剤を飲もうが、血流をよくするためにお風呂に入ろうが、それらは一過性のものに過ぎず不調の根本改善には及びません。
また、「血」が生産されるところは「心(しん)」とされ、「血」を貯えたり働きをサポートするのに「肝」や「脾」と呼ばれる経絡が関係するのですが、これまた心臓、肝臓・・・などという臓器単体のことではなく、それぞれのエネルギーラインが相互に関連し合いながら人間の身体を成り立たせていると考えます。
こう説いてみると中医学では身体を部位別に捉えることはできず、どうしても話が広範囲に渡るため、いまいち捉え辛い学問であることも難点です。逆に西洋医学は部位別に診て症状を治める対処療法が主ですね。この違い、なんとなく理解できましたか?
「血」は食べたものの栄養を各臓器や器官など全身に届けて、滋養(身体の養い・栄養になること)させます。これは解剖学でいう「血液」と同様ですが、中医学では赤血球・白血球といった血液の成分にはフォーカスしないため、イコールではありません。また、筋肉や骨格を成長させたり、肌や髪に栄養を送ることも役目ですが、中でも最も重要と捉える役割が〝「血」は「気」と共に精神活動もサポート〟していること。
「血」が不足しては、意識がそぞろになって精神も不安定になります。ストレスなどがあると血は大量消費され、ますます悪循環の一途を辿ります。この構図を知ると、あらゆる精神疾患に「血」の質・状態が関係していることがわかるでしょう。西洋医学ではこれらを切り離して考える傾向にありますが、中医学では「血」を良くするには「気」の補強が欠かせません。
中国最古の医学書である黄帝内経には、以下のような記述があります。
「昔の人は百才になっても元気だった。今時の人は五十才になるともうヨボヨボだ。その理由を聞かせてくれ」
さて、答えはなんでしょうか?これに対する答えは以下になります。
偏食をせず、食べ過ぎないこと。食欲不振時はまずは好きで食べたいと思える物から食べ、食欲を湧かすこと。
ストレスを貯めないこと。「怒り」はのぼせ、頭痛や不眠となり、高血圧の人には特に悪影響。「悩み」は胃腸の消化力低下を引き起こす。
酒酔い状態を古典医学では「陽気が多い」状態とし、身体が温まり活動的であるが、醒めると寒くなるという。これはアルコールが余分に体内の陽気(熱気や活動力)を奪うため。そしてセックスは陽気を多く使う活動であるため、酒酔い状態で行うと陽気の消耗度合いが増し、二重に奪われ、後には必ず身体が怠くなり、冷えて下痢となる。
春夏は気温が高く陽気も多い季節、それに合わせて人間も活動的に。秋冬は陽気が少ない時期で、人間も静かにしておくことが良い。活動して発汗すると風邪を引きやすい。
まずは「血」の状態を改善していくために、「気」の循環含む全般に通じるこの「養生法」からなるべく外れず、無理せず、身体を労わって自然と調和して生きていって頂きたいと切に願います。
今回は中医学でいう「血」についてご説明しました。次回はその存在をどのように活かし、改善していくのかについてお話します。
文:リズムアンバサダー 朝井麗華