ランニングコーチの青山剛です。
前回までのこのコラムでは、「正しい走り方とは、体幹を使って足の負担を減らすこと」だとご説明しましたが、今回はもう少し具体的にその方法をお伝えします。
体幹で走れるようになるには、どうしたら良いのでしょうか?よく「体幹を意識して走りましょう」などと言ったりしますが、私的にはこれはNGです。
意識しただけで、体幹で走れるようになる方は、よほどの選手レベルでないと無理だと思ってください。
私は下記の順番でトレーニングを行っていくことで、どんどん体幹を使って走れるようになるとコーチングしています。
<1> ストレッチ=体幹を中心にしっかり全身を「伸ばし」
↓
<2> スイッチ=体幹が走りで使えるように、事前にエクササイズを行い、体幹に軽く良い刺激(筋肉痛)を「入れて」
↓
<3> ストレングス=体幹が使える状態になっているので、あとは走るだけ
必ずこの3つのSの順番で走り出す習慣を日々つけることが、体幹で走れるようになる手順になります。最低限のストレッチ10分、スイッチ10分のメニューがあります。
他のスポーツで言えば、これは実は当たり前のような流れだということが分かります。
例えば野球の場合、ストレッチや体操を行い、キャッチボールや素振りなど基本練習をみっちり行ってから、野球の実践に入ります。
ストレッチや基本練習をやらずに野球の実践ばかりやっても上達するでしょうけれど、とても効率が悪いのは容易に分かります。
今のランニングブーム、特に「続かない」方の特徴を見ると、ストレッチはあまりやらず、もちろん「体幹スイッチ・エクササイズ」などは行わず、いきなり走っているわけですから、“上達=体幹で走る”にはなかなか繋がりません。
また、それだと身体に必要以上に負担をかけてしまうので、怪我や故障をしてしまって、走ること自体を続けることが困難になっています
3S、特にストレッチ、体幹スイッチ・エクササイズの方法は次回から可能な範囲で紹介していきますが、ここで「体幹で走るメカニズム」をご説明します。
まずは「なぜ人は走る時に腕を振っているか」を考えます。
その理由は主に3つ。
『ランニングで腕を振る主な3つの理由』
1 バランスとりのため
2 リズムとりのため
3 肩甲骨を動かすため
1と2に関しては、実はあまり良くない理由での腕ふりです。
一番大事なのは3の「肩甲骨を動かすため」です。
腕は腕でも肘から上の骨(肘から肩にかけての上腕の骨)を後ろに引いたとき、つられるように肩甲骨が動きます。
その肩甲骨から発生した動力を、背骨を経由し骨盤に伝え、骨盤が動き出せば、つられて
足が前に振り出される。分かりやすく言えばこれが体幹主導で足が動いてしまうとなるわけで、体幹で走ることに繋がるのです。
しかし、動力を骨盤に伝える過程で、肩甲骨が動かなかったり、腹筋などの体幹の筋肉が「コンニャク状態=稼働していない」だとNGというわけです。
写真:赤枠の肘から上の骨が引けた時、肩甲骨がつられて動く
上記の「肩甲骨」「腹筋」をはじめ、骨盤周りを走る前にしっかりストレッチし、そして軽くエクササイズをして「刺激」を体幹に入れておけば、体幹で走れるようになっていく「3S」がトレーニングの流れとなるのです。
次回からは、誰でも簡単に取り組めるストレッチ、体幹スイッチを紹介していきます。
文:リズムアンバサダー 青山剛
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