ランニング&トライアスロン、そしてウォーキングコーチの青山剛です。
この新連載は「女性のためのスタイルアップウォーキング」として、ただ歩くだけではなく、歩く前の準備段階から指導させて頂いています。これまでは歩くフォーム、そして身体を4つのパーツに分けた「部位別編」として、ウォーキングを使って各パーツのスタイルアップ方法を指導してきました。
歩く前の準備が出来て、歩くフォームが分かったところで、実際に歩いてどんどんスタイルアップしたいところですが、ここで肝心なことをもう一つ。それは「歩くペース」です。
ペースというと、ランニング同様に「1kを何分ペース」と設定したくなりますが、まずは何を目的にするか次第で、ペースは変わってきます。
今回の連載テーマのスタイルアップを目的とした場合、ウォーキングでは「脂肪燃焼ゾーンのペース」をお勧めしています。そうなると「1k何分ペース」というような設定だと、個人差を考慮したペース設定にはなりません。運動不足の方は速すぎて、運動経験者だと遅すぎる、といった感じで失敗しやすいのです。
そこで個人差を活かした適切なペースを設定する場合「心拍数」を使います。心拍数とは、心臓が一分間に拍動する回数のことです。そこで個人差のある、年齢と安静時心拍数を考慮した「脂肪燃焼心拍数」の求め方を紹介します。
下記が「目標心拍数=脂肪燃焼ゾーン」の求め方です。
・朝、目を覚ましたら、起き上がらず横になったまま1分間の脈拍を計測します。
・測り方は、手首の動脈に3本指を当てて測ります。
例)40歳Aさん:60
・220-年齢=最大心拍数
例)40歳の場合:220-40=180
・{(最大心拍数―安静時心拍数)×0.5}+安静時心拍数
例)40歳 安静時心拍数60の場合:{(180-60)×0.5 }+60 = 120
※式中の0.5は50%という考え方
この40歳で安静時心拍数が60拍の方の場合、心拍数が「120前後=運動強度が50%前後」になるようにウォーキングをすれば、脂肪燃焼ゾーンになるので、最適なペースになります。歩いてみれば分かりますが、少し早歩きをしなければこの心拍数=脂肪燃焼ゾーンにはなりません。
この心拍計測をしながら歩くには、もちろん「心拍計測付き時計」があるとかなり便利です。最近では胸に巻くバンド式センサーで心拍数を計測し、時計に表示する従来型の心拍計だけではなく、時計を手首に巻くだけで計測が出来る光学式の心拍計もあります。
また、スマホのアプリでもカメラレンズに指を当てるだけで測れるものもありますので、利用してみましょう。
(写真1)心拍計を使って計測する
しかし、そのような心拍計がなくても、信号待ち、もしくは10分ごとくらいに、安静時計測と同様に手首の動脈に指3本を当てて「10秒間」計測して、6倍する方法でも構いません(120拍が目標なら、10秒間で20拍)。
(写真2)手首に指を当てて計測
いずれにせよ、はじめのうちは上手に心拍管理が出来ないかもしれませんが、慣れてくれば、そのペースが心拍数をいちいち見なくても感覚で分かってきますので、難しく考えずトライしていきましょう。まあ、脂肪燃焼ゾーンで歩きたければ、結構早歩きになることだけは確かです(笑)。
次回からは、普通の平地の道路だけではなく、階段、上り、下り、不整地(トレイル、ビーチなど)、歩く環境別のスタイルアップウォーキング方法を紹介していきます!
*参考書籍
「すぐ使える体をつくる 筋肉スイッチトレーニング(成美堂出版):青山剛著」
「医者に『歩きなさい』と言われたら読む本(池田書店):青山剛著」
文・写真提供:リズムアンバサダー 青山剛