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日本語ラップ界のレジェンドと称されるラップグループ「RHYMESTER」のラッパー・宇多丸さん。ラジオパーソナリティとしても絶大なる人気を誇り、TBSラジオ「ウィークエンド・シャッフル」の終了と共に、今年4月より同局の新番組「アフター6ジャンクション」(略称・アトロク)(月曜〜金曜・18:00〜21:00)のメインパーソナリティを務めることになった。そんな宇多丸さんと共に火曜日のパートナーを務めるのが、TBSの人気アナウンサー・宇垣美里さん。お2人に、番組のことや健康的に毎日を過ごすために気をつけていることなどについてお話をお伺いしました。
宇多丸(うたまる)
ラッパー、ラジオパーソナリティ。ヒップホップ・グループ「RHYMESTER(ライムスター)」で活躍するラッパー。早稲田大学在学中に相方となるMummy-Dと出会い、1989年にグループを結成。日本語ラップの黎明期からシーンを牽引してきた。当初からクラブシーンで評判だったトークスキルが、後にラジオパーソナリティとして開花。TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』などで活躍し、2009年、第46回ギャラクシー賞「DJパーソナリティ賞」を受賞。『ウィークエンド・シャッフル』終了後の2018年4月より、大型カルチャー・キュレーション番組『アフター6ジャンクション』のメインパーソナリティを務めている。近作にライムスターの2018年7月配信シングル「After 6」(『アフター6ジャンクション』オープニングテーマのフルコーラスバージョン)、9月発売、書籍『ライムスター宇多丸も唸った人生を変える最強の「自己低発」低み』(イースト・プレス刊:TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」&「アフター6ジャンクション」編)ほか。
宇垣美里(うがきみさと)
同志社大学卒業後、2014年4月、TBSに入社。情報番組『ひるおび!』や『サンデー・ジャポン』にも出演する傍ら、入社1年目からTBSラジオの番組でも活躍。現在、『篠田麻里子のGOOD LIFE LAB!』や『高田純のキャッシュレスドラゴン』などを担当するTBSの人気アナウンサー。アニメやマンガ、映画などに造詣が深く、この4月からスタートしたラジオ番組『アフター6ジャンクション』にて、メインパーソナリティである宇多丸氏のパートナーに抜擢され、火曜日を担当している。
Rhythm編集部(以下:———) これまで放送されてきたTBSラジオの番組『ウィークエンド・シャッフル』(土曜日22時〜24時)が終了し、今年の4月から、月曜日から金曜日の18時〜21時まで放送されている『アフター6ジャンクション』がスタートしましたがどのような番組なのでしょうか?
宇多丸さん(以下敬称略) どんなカルチャーに対しても垣根を作らない、ということですね。オモシロいモノってそこら中に溢れているし、見過ごしているモノにも必ずオモシロいモノがあるはず。そんな風にオモシロが隠れているカルチャーについて、そのテーマに詳しい人、実践している人などにお越しいただき、お話をうかがう。そうやって、世の中にはオモシロいことがたくさんあるんだっていうことを次から次へと積み重ねていく、といった感じの番組です。
宇垣さん(以下敬称略) いわば、わんこそばみたいな番組です! 私は火曜日のパートナーとして参加させていただいていますが、いつも時間が足りないという感じ。毎回、アレもコレも気になるし、まだ紹介しきれていないモノがあるのになあと思っているうちに番組が終了してしまいます。多分、聞いてくださるリスナーの方々でさえパンクしちゃうんじゃないかっていうくらい、様々な興味をかき立ててくれそうな情報を次々とご紹介する番組だと思っています。
宇多丸 そうそう、わんこそばみたいに次から次へ、という感じです。そういう意味では、リスナーのみなさんも、番組をやっている僕らと同様、本当に退屈しているヒマがないかもしれないですね。
ウィークエンド・シャッフルの頃は僕と身の回りのスタッフだけでこぢんまりと放送してきたという感じでしたが、今回は「大型カルチャー・キュレーション番組」と謳っていて、各曜日担当のパートナーとなるアナウンサーをはじめ、ものすごくたくさんの人が番組のために動いて、次から次へと様々な要素が盛り込まれていく。さらに、ライブも凄まじいです! 毎日のようにスタジオ内でバンドによるライブが行われたりしていますからね。
表現に迷いますが、ものスゴい豪華なジェットコースターに乗っている、といった感じですね。こんな贅沢なライド、「どこのお金持ちなら実現できるんだろう?」というくらい、自分にとっては超豪華。こう言うと怒られちゃうかもしれないけど、メインパーソナリティである自分がお客さん気分で楽しんじゃっていて、「今日はどんな人が来るのかなあ?」と、毎回、楽しみでしょうがないほど。だから、飽きることもないし、楽しいですね。
宇垣 ライブなんかも、本当に目の前ですから独占状態ですよね。
宇多丸 いろんなアーティストのライブを毎日のように楽しめるなんて、贅沢過ぎます。この番組を始めてからは、よく「月曜から金曜まで毎日だから大変ですね」と声をかけていただくのですが、自分としては全然、大変じゃない。むしろ、座って話しているだけで次から次へと楽しい情報が入ってくるので、それをただ楽しんでいるだけです。
———宇垣さんは火曜日のパートナーを担当されていらっしゃいます。番組開始から半年以上になりますが、いかがですか?
宇垣 私は元々、マンガやアニメ、映画などのカルチャーが好きなのですが、それが仕事に繋がることは今までほとんどなかったんです。それでも個人的に好きなことなので、ずっと追いかけてきたのですが、それがやっとこの番組のお陰で繋がったという感じです。
番組スタッフのみなさんと「コレ、いいじゃん!」とか「アレ、オモシロいね!」と、いろんなネタを掘り下げていく作業を毎週1回するというのがものすごく楽しい。いつも番組収録後に「ああ、今日も働いた! 頭動かしたなぁ」と、心から実感できて刺激的です。今、この番組の仕事を楽しみに生きていると言っても過言ではありませんね。
———お二人のコンビネーションと言いますか、相性はいかがですか?
宇垣 そもそも、私は宇多丸さんの度量の広さと言いますか、何に対しても受けとめてくださるからこそ、番組が成立していると思っています。自由に意見できるよう、ある意味“野放し”にしてもらっているので(笑)、とてもありがたいなあ、と。自由に発言させていただいています。
宇多丸 野放しって(笑)。いつも思うんですけど、宇垣さんの前では気が抜けないぞ、と。どんな瞬間でも常に「なぜ?」とか「なんだろう?」といったことを考えていて、いい意味で緊張感を持たせてくれる。そして、こっちに緊張感がなかったりすると、すかさずその隙を突いてくる、みたいな。だから、一緒に番組をやっていて、刺激的だしオモシロいですね。
しかも、「何でそんなに本をいっぱい読んでるの?」っていうくらい、読書の蓄積がスゴい! 「さすがに世代的に考えればこの本は読んでないよな」っていうネタを振ってみても「コレとコレは読んでいます」みたいな反応が多くて驚かされます。彼女のほうがアニメやマンガに関しては詳しいことが多いので、こちらこそ、勉強になっていますね。
宇垣 そう言っていただけると嬉しいのですが、それもこれも、私が言いたい放題で発言しても宇多丸さんが「そうだね」と言って受けとめてくださるから。人によっては生意気なヤツと思われがちな私ですが、大きな度量で受けとめていただけるのが、私にとって幸運なことだと思っています。基本的に私、非常に鼻につく性格だと思うので(笑)。
そんな私にとって、宇多丸さんは父のような兄のような、あるいは、慕っている先輩のようでもあり。そういう人ってなかなか出会えるものではないと思いますが、そんな人に毎週会えるからこそ、楽しい。話を聞いて「なるほど」と思うことも多いですし、私にとって宇多丸さんはいつも何かの指針になってくれる人なんだなあと思っています。
宇多丸 僕のほうは、どっちかというと同級生気分ですけどね(笑)。だから、たぶん僕のほうが甘えている部分がいっぱいあると思います。なんだろう……、大学のサークルで言えばスゴくキレる後輩みたいな感じなのかな!?
宇垣 え? どっちの“キレる”ですか? 頭がキレるじゃなく、まさか、プチンとキレるほうじゃないですよね!?
宇多丸 まあ……、両方かな!?(笑)。
(『健康でなければ、番組でカルチャーがどうのこうのなんて言っていられない!』宇多丸×宇垣美里 インタビュー Vol.1(後編)へ続く)
<放送時間>毎週月曜日〜金曜日/18:00〜21:00
<メインパーソナリティ>宇多丸
<パートナー>月・熊崎風斗/火・宇垣美里/水・日比麻音子/木・宇内梨沙/金・山本匠晃
<HP>https://www.tbsradio.jp/a6j/
【番組はRADIKO(http://radiko.jp/)からスマホで聴くことができます】
65年続いた野球中継に幕を下ろし、TBSラジオが“ラジオ新時代”を継げる番組として2018年4月よりスタートした大型カルチャー・キュレーション番組。番組名『アフター6ジャンクション』には、「仕事終わりとか学校終わり、趣味や好きなことを媒介にして、リスナー同士が繋がれる場所になれるような番組にしたい」という思いが込められており、番組名の略称は「アトロク」。
ライムスター宇多丸がパーソナリティを務め、日替わりでTBSアナウンサー5人がパートナーとして登場。映画・音楽・アイドル・本などの分析や、独自視点による研究など、日常のなかにある「おもしろ」を掘り起こすカルチャー・キュレーションで現代社会に広がる様々な趣味嗜好の多様性を受けとめるという内容で、「あなたの好きが否定されない、あなたの好きが見つかる場所」が番組のキャッチフレーズとなっている。
構成・文:國尾一樹
写真:たつろう
『いくつになっても、心地良く生きていなければ意味がない』 日本語ラップ界のレジェンド、「RHYMESTER」宇多丸さんインタビュー Vol.3(後編)